『私は闘う』野中広務/文春文庫 | 砂場

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野中 広務
私は闘う

民主党の新代表が前原に決まった。管直人と2票差。今回の衆議院選挙で民主党が負けたのも頷ける結果だ。形だけかも知れないが派閥の解体が進んでいる自民党に比べ、どちらが旧態然としているか。


以下の文は、平成7年の自社さ連合政権時に、小沢一郎と手を組む「保・保連合構想」について野中氏が記者に示した答えだ。


「政策が似通っていようが、政治の原点は信義であり、それが政治をやっていく芯である。従って自民党を脱走したような信義をわきまえないような人たちと再び手を組んで、この国の将来を一緒にやっていくことは政策以前の問題である。(中略)人を裏切り、人を地獄に落とし、そして政治家としてあるまじき敵前逃亡をしてみたり、自民党に支えられて総理大臣までやった人が馬鹿のひとつ覚えのように『政治改革』を叫んで、小沢さんに党首にかつがれた。政治家はもっと言葉に責任を持ち、行動に責任を持つということが基本でなけらばならないとしみじみ思う。」


ここまで言い放っておいて、のちに野中氏と小沢氏は手を組むことになるのだが、そこはひとまず置いておいて、ここで野中氏は「政治の原点は信義」だと言っている。「政策が似通っていようが」とあるが、この文脈なら「政策がまったく同じ」でも信義のない場合は手を組めなさそうな勢い。どう読み取っても、この信義は国民ではなく「党」や「派閥」、もしくは「特定の個人」が対象になっている。


【信義】いったん約束したことを破らずに、その通りに実行すること。

新明解国語辞典第4版

野中氏の言うとおり政治の原点は信義だと僕も思う。ただし、約束の対象は「国民」だ。今回の選挙は「党」や「派閥」ではなく国民に信義を問いかけた小泉の圧勝だった。