『失踪日記』吾妻ひでお/イースト・プレス | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

吾妻 ひでお
失踪日記

話題の本。漫画家・吾妻ひでおの自伝漫画。仕事と家庭を捨てて二度の失踪、孤独なホームレス生活、重度のアルコール中毒からの精神病院への強制院入院、など苛酷な内容をコミカルに描く。装丁・鈴木成一デザイン室。カバー裏にスペシャルインタビュー有り。


僕は漫画には疎いので吾妻ひでおをよく知らなかったのだが、大塚英志曰く、「不条理」「美少女」「萌え」は吾妻ひでおが原点らしい。今の萌えイラストとはかなり違う気がするが、大塚英志が言うのだからそうなのだろう。偉大な人である。


失踪して自殺未遂後のホームレス生活。マンションの裏山で、腐った毛布にくるまって暖をとり、畑で盗んだ大根を齧り、シケモクを拾って吸い、酒ビンの底に残った酒を集めて飲む。
幻覚に襲われるアル中時代から精神病院への強制入院など、中島らも 『今夜、すべてのバーで』を思いだした。途中、配管工として働く生活を描いたところも面白い。


ジャンル的には、つげ義春の『無能の人』や花輪和一の『刑務所の中』の同類になるのだが、この苛酷な内容を楽しくよませるとは、さすがシュールなギャグを得意とするギャグ漫画家。ホームレス生活や精神病院の入院生活など日常生活から比べると、不条理でシュールな状況に溢れている。


関連書籍

中島 らも
今夜、すべてのバーで
つげ 義春
無能の人・日の戯れ
花輪 和一
刑務所の中