- 乙一
- GOTH 夜の章
- 乙一
- GOTH 僕の章
「このミステリーがすごい2003年版」国内篇2位。第三回本格ミステリ大賞受賞。乙一の出世作となった超話題作が「夜の章」「僕の章」と2冊になって文庫化。
人間の残酷な面を覗きたがる悪趣味な高校生の男女を中心として描かれた連作短編集。読み初めてすぐ、エドワード・ゴーリー『おぞましい二人』を思いだした。
著者はライトノベルのつもりで書いたとあとがきにある。主人公の身近に頻繁に殺人鬼が現れ、その度に多少なりとも巻き込まれる同級生の森野。というリアリティのない設定はまさにライトノベル。だが、そんなリアリティなどどうでもいいと思わせる魅力的な登場人物と周到なミステリ的構成。僕がホラーアンソロジーを作るなら「犬」はぜひとも入れたい。これは頭がクラクラするほどグロテスクなホラー短編だった。
善良な市民が殺人鬼を捕まえるのではなく、自分の同族にひきよせられた主人公や森野が事件に関わっていくという悪趣味な物語なのだが、そんな二人の微妙な恋愛感情が暗くなるはずの読後感をやわらげてくれる。主人公たちに感情の起伏がほとんど無く、淡々としているもで残虐なはずの事件もそれほど衝撃は少ない。それぞれの文章のセンスも抜群で、改めて乙一の才能を思い知らされた。これは傑作だ。
関連書籍
- エドワード・ゴーリー, 柴田元幸
- おぞましい二人
現実のあった事件をもとに、子供を幾人も殺し続けたカップルを描かれている。ゴーリーだからと油断して読んだら、本気でへこんだ。