6月下旬発売の文庫 | 砂場

砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

夏の100冊と連動しているから今回は紹介する本が多い。


大崎 善生
アジアンタムブルー

愛する人が死を前にした時、いったい何ができるのだろう。末期癌に冒された恋人と向かったニースでの日々。喪失の悲しさと優しさの限りない力を描き出す、慟哭の恋愛小説。


新明解には無かったので広辞苑第4版より引用。


【アジアンタム】クジャクシダ属の観葉植物。南米原産で、園芸品種もある。針金様黒色の細い葉柄に薄い扇形の小葉を多数つけ、美しい。鉢植えなどで栽培。


「美しい」という主観をいれるとは、広辞苑もあなどれない。



乙一
GOTH 夜の章
乙一
GOTH 僕の章


『夜の章』

連続殺人犯の日記帳を拾った森野夜は、次の休日に未発見の死体を見物に行こうと「僕」を誘う…。人間の残酷な面を覗きたがる者〈GOTH〉を描き本格ミステリ大賞に輝いた乙一の出世作。「夜」を巡る短篇3作を収録

『僕の章』

世界に殺す者と殺される者がいるとしたら、自分は殺す側だと自覚する少年「僕」。もっとも孤独な存在だった彼は、森野夜に出会い、変化していく。彼は夜をどこに連れて行くのか? 「僕」に焦点をあてた3篇を収録。


乙一の名を不動にした出世作にして代表作。映画化も決まっている。この2冊を買えば角川夏の100冊のブックカバーを貰えるし、ネガティブキャンペーンの応募もできるというのも魅力的だ。



滝本 竜彦
NHKにようこそ!


ひきこもりの大ベテラン佐藤は気づいてしまった。人々をひきこもりの道へと誘惑する巨大組織の陰謀を!――といってどうすることもなく過ごす佐藤の前に現れた美少女・岬。彼女は天使なのか、それとも……。


日本(N)ひきこもり(H)協会(K)ということで、テレビのNHKとは関係ない。漫画のほうが人気で原作のほうが影が薄いのが残念。



森 絵都
アーモンド入りチョコレートのワルツ

十三・十四・十五歳。きらめく季節は静かに訪れ、ふいに終わる。シューマン、バッハ、サティ、三つのピアノ曲のやさしい調べにのせて、多感な少年と少女の二度と戻らない「あのころ」に語りかける珠玉の短編集。


第20回路傍の石文学賞受賞作。児童書のベストセラーの文庫化。最近は児童文学出身の作家が活躍しているが、森絵都もそのひとり。今回の直木賞は逃したが、すでにその実力は誰もが認めるところ。ブレイク間近かな。すでに、ブレイクしている気もするが。



笹生 陽子
楽園のつくりかた

エリート中学生の優は突如田舎の学校に転校することに。同級生は3人。バカ丸出しのサル男、いつもマスクの根暗女、アイドル顔負けの美女(?)…。果たしてここは楽園なの? 今最注目の作家の代表作、待望の文庫化!

"まったく、うまい。絶妙な人物造形、巧みなプロット、そしてセンスのよさ、三拍子揃った傑作―北上次郎(解説より)"

『ぼくは悪党になりたい』で一躍注目を浴びた著者の代表作。これも押さえておきたい。



海馬/脳は疲れない ほぼ日ブックス
池谷 裕二, 糸井 重里


脳と記憶に関する、目からウロコの集中対談。いわく、「『もの忘れは老化のせい』は間違い」「30歳を過ぎてから頭は爆発的によくなる」――。記憶を司る部位である「海馬」をめぐる脳科学者・池谷裕二のユニークな発想と実証を、縦横無尽に広げていく糸井重里の見事なアプローチ。脳に対する知的好奇心を満たしつつ、むしろオトナの読者に生きる力を与えてくれる、人間賛歌に満ちた科学書。

ほぼ日のベストセラー文庫化。自分は「カシコくない」と思ってしまっている人は必読らしい・・・これは読んでおかないといけないのだろうか。


【海馬】
1①たつの落とし子の異称。②セイウチの異称
2大脳半球の内側に在り、本能、情動および記憶に関する中枢が有る部位
新明解国語辞典 第4版より

重松 清
きよしこ

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。どこにでもいる少年。転校生。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを知っていたけど。ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言った。伝わるよ、きっと──。大切なことを言えなかったすべての人に捧げたい珠玉の少年小説。


今年は『ヒナゴン』『疾走』、そして来年には『流星ワゴン』と映画化。直木賞に続いて二度目のブレイク間近だ。そんな著者の半自伝的小説である本書。帽子を目深に被った少年の表紙だけで、すでに切ない…。



ジョン・アシュトン, 高橋 宣勝
奇怪動物百科

小人族、巨人族、サテュロス、スフィンクス、マンティコラ、ケンタウロス、一角獣……などなど、古代・中世の文献にでてきた奇怪動物たちを大真面目に紹介。本書は1890年に書かれたというのが、読みどころ。



ジャック・ケッチャム, 金子 浩
黒い夏

高校生のレイは、かつて興味半分に人を殺したことがあった。証拠不十分でレイの容疑は立証されなかったが、四年後、レイを怪しむ元刑事エドはレイを罠にかける。ドラッグの売人でコンプレックスの塊であるレイは追い詰められ、ついに暴発する。人間の狂気を描いて比類なきケッチャムの問題作!


『隣の家の少女』で有名なケッチャムの久しぶりの新刊。ケッチャムのファンのかたなら迷わず買いだが、それ以外の方は間違っても買わないように。ケッチャムの本は拷問に近い。




【関連書籍】

笹生 陽子
ぼくは悪党になりたい
森 絵都
いつかパラソルの下で
滝本 竜彦
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ
重松 清
いとしのヒナゴン
重松 清
疾走 上
重松 清
疾走 下
重松 清
流星ワゴン
ジャック ケッチャム, Jack Ketchum, 金子 浩
隣の家の少女