『本当はちがうんだ日記』穂村弘/集英社 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

穂村 弘
本当はちがうんだ日記

今はまだ人生のリハーサルだ。
本番じゃない。
そう思うことで、私は「今」のみじめさに耐えていた。
これはほんの下書きなんだ。
いつか本番が始まる。
そうしたら物凄い鮮やかな色を塗ってやる。
塗って塗って塗りまくる。
でも、本番っていつ始まるんだ?
(あとがきから引用)

小説すばるに掲載されたエッセイを中心に2004年と2005年に新聞・雑誌に書いたエッセイなどが収録されている。「本の雑誌」や「クロワッサン」「FRaU」、「文藝春秋」「群像」とか「日経新聞」から「日販通信」などなど。「日販通信」に載っていたとは気づかなかった。


珍しく表紙に穂村さんの姿がない。エッセイでは必ずといっていいほど出ていたのに、と思いつつページを開くと、いた。なんだかガラクタが不法投棄されている謎の空き地に笑顔で立っている。ちなみに表紙カバーを取ると、穂村さんの似顔絵がワラワラ。装丁・装画は池田進吾(67)。


様々な雑誌に掲載された文章なので、長さが短いものがあったり、多少の傾向は違うが、どれも穂村弘のダメキャラがにじみ出ていて楽しめる。穂村弘のエッセイに餓えていた僕は、むさぼるように一気に読んだ。まるで穂村弘中毒だ。『もうおうちへ帰りましょう』は未読だが、禁断症状が現れたときのため残しておこう。


昨年は僕のなかでは伊坂幸太郎と舞城王太郎の年だったが、どうやら今年は穂村弘の年らしい。


本書に収録されているなかで好きなのは「エスプレッソ」「あだ名」「結果的ハチミツパン」などと上げていってもきりがないか。「硝子人間の頃」も好きだな。「クリスマスラテ」も素敵だ。