『殺し屋シュウ』野沢尚/幻冬舎文庫 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

野沢 尚
殺し屋シュウ

著者がハリウッドで映画化を夢見たという連作短編集。これは日本でドラマ化できないだろうか。さすが人気脚本家だけあって、物語を読んでいるだけで映像がリアルに目に浮かんでくる。ドラマ化したら間違いなく視聴率を取れるのにと思わせる。カバーイラストに朝倉めぐみ。


第一話「フォーザーズ・デイ」で主人公は殺し屋となる道を選らぶこととなる。第2話「マーシー・オブ・サムライ」で過酷な訓練を終え、第3話「シュート・ミー」第4話「ショットガン・スコール」第5話「スーサイド・ヒル」第6話「ナイト・フラッシャー」と殺し屋として働く。第7話「キル・ゾ-ン」では殺し屋としての仕事を超え、大切な人のため、その訓練された技術を使うこととなる。そしてエピローグ。


解説・関口苑生より引用

しかし彼は決して精密機械のごとき人物ではない。自分が何者であるかを悩み、苦しみ、何かにすがるといった、感情むき出しの人間に設定されている。実際の仕事の場面でも、引き金を引く最後の瞬間まで逡巡する姿が描かれるのである。
これほど職業意識に欠ける、意思の弱い殺し屋小説は今までになかった。


久しぶりに一気読みをした。面白かった。どの短編もよかったが、第3話「シュート・ミー」が印象的だった。人気絶頂のアイドルがライブ会場で自分が歌っている真っ最中に撃ち殺して欲しいという依頼。その歌のタイトルが「シュート・ミー」。リアリティを追求しがちな小説にしては、あまりに派手な演出で描かれた物語。こんなあざとい設定を、これほど見事に書き上げ感動させることができる作家は他にいないだろう。文章なのに、まるで映像で見たたかのように僕の心に焼きついた。


続編が読みたかった。解説の関口苑生の結びの言葉をここにも引用しておく。「悔しいぞ。野沢尚。」