『読書家の新技術』 呉智英/朝日文庫 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

著者: 呉 智英
タイトル: 読書家の新技術

呉智英流「知的武装」をするための読書術が書かれている。構成は第一部「知の篇」、第二部「技術篇」、第三部「ガイド篇」となっている。


知的武装することに気合が入っているわけでもなく、なんとなく古本屋で買っただけの僕だが「知の篇」は面白かった。ここでは「事実主義」と「俗流教養イデオロギー」を批判して、「知」と「読書」の目指す方向を示している。


「事実主義」に囚われた現在のジャーナリズムは事実ばかりを追いかけている。事実を積み重ねても真実には届かないし、そもそも自分達が描いた「真実」までのシナリオ作りの「事実」を集めているので、確かに胡散臭いと僕も思う。
「俗流教養イデオロギー」への批判としては、論語を読み誤っている山本七兵や谷沢永一を槍玉に上げている。教養に整合性のない町人哲学への批判なのだが、いまいちピンとこなかったので、僕なりの解釈として「俗流教養イデオロギー」=「ワイドショーのコメンテーター」としておく。


そして呉智英流読書術の目指すところは
「旧来の進歩史観への信仰堅持」VS「現状追認にすぎない"現実主義"」
「青年の理想主義」VS「オトナの現実主義」
「"広い"市民教養と生活人としての脆弱さ」VS「"したたかな"生活人感覚と傲慢かつ卑屈な心性」
という不毛な二分を超える哲学を望見するための読書。


「技術篇」では新聞の書評欄での良書の見つけ方、読書カードの作り方が説明してあり、「ガイド篇」では各ジャンル(政治、宗教など)の基本書が紹介されている。知的戦闘力を高めたい人には参考になるだろう