5月下旬発売の文庫 後編 | 砂場

砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

著者: 高橋 竜太郎
タイトル: わたしの心は壊れてますか?

一問一答のカウンセリングで明かされるあなたの心にひそむ『秘密』。依存症、アダルトチルドレン、パニック障害、カジュアル過食、キレる人々など若者を蝕む"心の病"を第一線の精神科医が癒すかつてない感動の一冊。


ベストセラー『あなたの心が壊れるとき』の第二弾。精神病全般を扱った本のなかでは、比較的読みやすいのがよい。


著者: 上原 隆
タイトル: 雨の日と月曜日は

「友がみな我よりえらく見える日は」で現代社会を生きる人々の苦悩と再生を描き多くの読者を勇気づけた著者による、初めての書き下ろしエッセイ集。自らについても「輪郭」である思考や性癖、自分史を見据えて綴る。


僕がまだ文庫の担当になる前に、もし文庫担当になったら平積みした本がいくつかあったが、『友がみな我よりえらく見える日は』はそのひとつだった。別に僕は読んで好きな本というわけでもなく、最初はこの言い回しが特に目新しいとも思わなかった。


だけど、僕はこのタイトルをみるだびに立ち止まってしまう。もちろん、僕のなかに「友がみな我よりえらく見える」という気持ちがあるからなのだが、それにしてもどうしてこんなにひっかかるのかと考えて、タイトルが「は」で終わっているからだと気づいた。


本書も「は」で終わっている。


著者: 森 博嗣
タイトル: 迷宮百年の睡魔

『女王の百年密室』の続編。見所は解説の綿矢りさ。全体の総評というより、登場人物のひとりが好きだと延々書いてある。これで大丈夫なのかと思ったが、解説を読むと本書が読みたくなった。さすが、綿矢りさ。計算しているのか、素なのかいまだ分からないが。




著者: 小林 泰三
タイトル: 海を見る人

場所によって時間の進行が異なる世界での哀しくも奇妙な恋を描いた表題作、円筒形世界における少年の成長物語「時計の中のレンズ」など、冷徹な論理と奔放な想像力が生みだす驚異の異世界を描いた7篇を収録したSF短篇集。


『玩具修理者』で角川ホラー大賞短編賞を受賞している。グロテスクな短編を書かせたら随一。ホラー短編の名手として他の追随を許さない活躍だが、実はSF短編も名手だったというのが本書。SFマガジン読者賞を受賞した本書は、SFのなかでも本気の理系作家にしか書けないハードSFに分類される。


ハードSFとは物理学・科学的根拠に基づいて論理的に説明できる設定を使ったSF小説だ。本書の解説でもなにやら物理学の数式を使って、小説内で描かれている摩訶不思議な世界が荒唐無稽な設定ではないことを証明している(超文系の僕は数式を見るだけで頭が痛くなるのでパラパラと捲っただけだが)。


と説明すると難しそうな小説だと思われかねないが、本書はそんな数式などまったく知らなくても面白い。知らないほうが面白いのではないかと思う。本書にでてくる登場人物たちは、自分が住む世界の法則など知らずに、それぞれの人生を生きているから。


SFファンに人気があるのはSFマガジン読者賞を受賞しているから確実だが、本書はSFが苦手な人にぜひ読んで欲しい。短編が苦手という人にもお薦めだ。



関連書籍


著者: 高橋 龍太郎
タイトル: あなたの心が壊れるとき

著者: 上原 隆

タイトル: 友がみな我よりえらく見える日は


著者: 森 博嗣

タイトル: 女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN


著者: 小林 泰三

タイトル: 玩具修理者