僕が定期購読している唯一の雑誌『ダヴィンチ』の「絶対はずさない!プラチナ本」は町田康『告白』。今まで彼の小説は読んだことがないので、そろそろ挑戦してみようかという気になる。僕の担当の文庫の棚にある町田康の本を誰かがまとめ買いしていった。お客様の誰かが町田康にはまったのだなと思う。

- 著者: 町田 康
- タイトル: 告白
町田作品の文章が持つ、流れるようなリズムのよさは周知だと思う。だが、それは「するする読める」などという生やさしいものではなく、地響きのようなうなりをあげて暴走するダンプカーに、巻き込まれ引きずられミンチにされる感覚だ。肉体や飾りは粉砕され、魂だけを連れて行かれてしまう。
ダヴィンチ編集部員・関口靖彦
- 著者: 川上 弘美
- タイトル: 古道具 中野商店
最近の芥川賞はつまらないとよく言われる。きっと僕らが求めている芥川賞作家が町田康や川上弘美、そして以下に紹介する堀江敏幸というレベルだからだと思う。こんな人達は年に何人もでてくる分けがない。年に2回というのを、新人を対象にした芥川賞新人賞と中堅ベテランが対象の芥川賞に分割したら、それぞれの期待に堪えうると思うのだが。

- 著者: 堀江 敏幸
- タイトル: 河岸忘日抄
堀江敏幸の文章を読んだときは衝撃だった。ちょうど、金原ひとみ『蛇にピアス』を読み終えたあとだったからなおさらだ。僕が求めていた芥川賞作品とはこれだと思った。
ゆっくり起き出して洗面所に行き、壁に作りつけられた両開きの棚からいつのものだかわからないアスピリンを探しだして水道水を注いだコップに投げ入れると、細かい空気の泡が音を立てて勢いよくわきあがり、その大半がぷつぷつと宙に消えたのを見届けてから舌にかすかな刺激のある即席の水薬を飲みほした。
小説が好きな人にとって、この3人の書いた文章を読んでいるときは、まさに至福の時間だろう。最近の小説はマンガやアニメっぽいとか、まるで映画のようだったりして、どうしてこの内容が小説でなければいけないのか分からないものが多い。そんな中、この3人の芥川賞作家は小説でしか表現できない作品を高水準で発表し続けている。
