穂村弘

著者: 穂村 弘
タイトル: 世界音痴
最近、知り合いの穂村弘(通称・ほむほむ)ファン率が異常に高いことに気づいた。短歌の人なので僕とは縁がないかなと思っていたが、ここまでくると無視できない。ということで昨年末あたりから、この穂村弘のエッセイをパラパラと読んでいたのだが、気がつくと、すっかり穂村弘ファンになっている自分がいた。
「飲み会では両サイドの人との会話のバランスが気になって自然に楽むことができない」とか「回転寿司でコートを脱ぐタイミングが分からない」など、序盤は大笑いしていながらも、いつのまにやら共感している自分がいて、あきらかに「笑えない」話になってしまう。「世界音痴」でない人は笑って終わるのだろうけど。
毎年、半袖に着替えるのが人よりも一日だけ遅れる。町に出て人々が半袖になっているのを発見して、初めて自分も半袖を着るからだ。たった一日の差はたいしたことではないと思われるだろうか。そうではない。その一日は「人間」と「人間外のもの」を分ける一日なのである。人間たちはみな「自然に」衣替えを行う。私は彼らの真似をして半袖を着るのだ。
松尾スズキ『大人失格』がここ最近読んだエッセイのなかでは最強に面白かったのだが、この『世界音痴』も負けてはいない。よく考えるとこの2作品はタイトルの意味が近い。
そういえば、今日、本屋の釣銭準備金の両替で銀行に行くとき、コートを着ていったら町行く人たちはすっかり春の服装になっていたのは完全に「世界音痴」であるし、両替機で僕の前に並んでいた人が操作に首を捻っていたので教えてあげようかなと思ったのに、声をかけるタイミングが計れず、その人は諦めて帰ってしまうなど「大人失格」以外のなにものでもない。
新刊『現実入門』が3月22日に発売だが、これもぜひ読みたいところだ。さすがに現実は認識できているつもりだが……。
著者: 松尾 スズキ
タイトル: 大人失格―子供に生まれてスミマセン
著者: 穂村 弘
タイトル: 現実入門