
著者: 市川 拓司
タイトル: そのときは彼によろしく
本屋大賞候補作。人気作家、市川拓司の3作目。
映画『ノッティングヒルの恋人』へのオマージュが入っているらしいが、僕は観ていないので気が付かない。
水辺の動植物が大好きな少年、体が小さくてゴミ山のガラクタの絵を書いている友人とそのペットで「ヒューウィック?」と鳴く老犬、男勝りで生意気で歯列矯正器をした少女。3人と1匹の楽しかった少年時代が交錯しつつ、物語は29歳になってアクアショップを開いている主人公とアルバイト募集でやってきた女性が中心となっていくラブストーリー。
登場人物のだれもが愛すべき人たちで、それぞれの物語を生きている。やさしさのこもった文体。思いやりに満ちた人たち。
ぼくらはばらばらではなく、みんな繋がっている。
誰もが誰かと誰かの触媒であり、
世の中は様々な化学反応に満ちている。
それがきっと生きていることなんだと思う。
中盤を過ぎたあたりから展開が加速して、いっきに読ませる。流行の作家さんということで、本屋大賞とは少し違うかなと思いつつも、さすが候補作に残っただけのことはある。清々しい読後感だ。