
著者: NoData
タイトル: SWITCH Vol.23 No.2(FEBRUARY200 (23)
スラムダンク、あれから10日後――
著者が決して書かないと言ったスラムダンクのその後の世界が、この雑誌の特集で垣間見ることができる。廃校を借り、23枚の黒板に描かれた、あれから10日後の彼らの日常。赤木晴子、三井寿、宮城リョータ、赤木剛憲、木暮公延、流川楓、そして、桜木花道。
注文の本が届いて嬉しそうにしているバイトの子に、僕は声をかける。「もう中は見た?すごいことになってるで。スラムダンク好きならそれは間違いなく買いやな」バイトの子は中を開こうとはせず、じっと表紙のイラストを眺めて「この表紙だけでも十分です」と笑った。一億冊を突破し、日本中の若者を虜にしたスラムダンク。こんなに多くの人に愛されている漫画は他にない。
黒板に白いチョークで書かれた懐かしい顔ぶれ。井上雄彦の画力に驚かされる。それぞれの日常の姿が23枚の黒板に描かれ、紙面越しに見ても鳥肌が立つほどの臨場感。実際に黒板の前で見ることができた人たちを心から羨ましいと思う。桜木は「リハビリ界のリハビリ王」と呼ばれているらしい。連載が終わってから、僕らは10歳年を取ったけど、彼らの時間はまだ10日しか流れていない。特に劇的な内容があるわけではない、10日後の彼らの日常。変わらないその姿を眺めながら、僕らのなかで流れた10年という歳月がリアルになっていく。彼らは10日分しか変わっていないけど、僕らは10年前とは違うところにいる。
時計が止まったはずの10年間、彼らの時間はゆっくりと進んでいた。僕らの頭の中で「終わってしまった物語」と処理されていたスラムダンクは、この特集で息を吹き返した。「桜木のリハビリはもう終わったかな」と10年後に言いたいと、ページを捲りながら思った。スラムダンクは僕らのなかで生きつづける。
各地の書店ランキングで1位を取り続け、書籍扱いの雑誌とはいえ現在3刷。出版社からは客注のみ出庫(2月9日現在)