『第五回ホラーサスペンス大賞』 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

ホラーかサスペンスかどっちやねん! と非常に分かりにくい名前の賞。創設当時に勢いのあった角川が主催の日本ホラー小説大賞に対抗するために、こんな微妙な名前に。まあ、面白ければなんでもありのエンターテイメント系新人賞というところ。

というと、なんだか胡散臭いが、実は新潮社&幻冬舎という正反対の出版社が組んだ、すごく気合の入った賞だ。新潮社主催の新人賞という意味で考えると(プロアマ問わずなので完全な新人賞ではないが)、人気作家を数多く輩出した『新潮ミステリー倶楽部賞』『日本推理サスペンス大賞』までさかのぼることができる。前者は乃南アサ、宮部みゆき、高村薫、天童荒太。後者では、雫井修介、沢木冬吾、戸梶圭太に伊坂幸太郎と超豪華メンバー。



著者: 沼田 まほかる
タイトル: 九月が永遠に続けば

大賞受賞作。選考委員の綾辻行人、桐野夏生、唯川恵が絶賛ということだが、女性作家の描くミステリーということで、この三者だと桐野夏生が近いところかな。表紙だけみると、どこから見ても幻冬舎なのだが、これは新潮社から発売されている。作者は生駒在住の50代の女性。新人離れした内容と言われ、僧侶経験という異色の経歴も持つだけに、今後の活躍にも期待できそう。




著者: 黒武 洋
タイトル: そして粛清の扉を

この作品にあわせて、単行本が飛ぶように売れた本書も文庫化。これはあきらかに幻冬舎が好きそうな内容だったが、順番の関係で新潮社からの発売。詰めの甘いとこが目立つが、担任の女教師が生徒を教室に監禁して次々に殺していくという内容のインパクトはかなりのものだ。ストーリー展開にだれるところが無く、一気読みができる本だ。

僕は、この本を図書館で借りて読んだのだが、プロローグのあたりを数ページ読んだところに「犯人は女教師」という鉛筆の落書きがあって驚いたをよく覚えている。「しまった!犯人が分かってしまった!」と動揺したが、よく考えると、今更言われなくても分かっていることだった。別に読むことに支障はないのだが、不愉快なる人もいるだとうとケシゴムで消して返した。図書館の本に落書きはやめましょう。