
著者: 法月 綸太郎
タイトル: 生首に聞いてみろ
今年2冊目の読了本。昨年度、宝島社「このミステリーがすごい第1位」、原書房「本格ミステリベスト10、第1位」、ミステリチャンネル「闘うベステトテン、第7位」、週刊文春「2004年ベストテン、第1位」と、昨年度の主要ミステリー系ランキングの総合点はダントツで1位だ。ミステリファンから最も愛された作品ということで、僕はミステリー(特に本格ミステリー)に合わない人間になってしまったことが判明。これで傑作なのか…。どう考えても「力作」が妥当な評価だと思うのだが。
確かに複雑な要素が入り組んだ事件がラストで見事に収束していく所は評価できる。主人公を含む登場人物たちの行動のひとつひとつが絶妙に絡まり合い、計算されつくされたこの物語に無駄なシーンはないだろう。それぞれの思惑、勘違い、偶然が生んだ悲劇のラストシーンは法月倫太郎らしいのだが…。
だが、ここまで登場人物に感情移入できない物語は読んでいて厳しい。「抑制の効いた描写」と書評などで書かれているが、僕としては圧倒的に描写力も描写量も足りず、登場人物たちは三文芝居を演じている大根役者にしか思えなかった。上下巻にしてもいいから、もっと登場人物たちを書き込んで欲しかった。非常にもったいなく思う。ストーリーが緻密でも登場人物に血が通っていないと、つまらない小説になるという見本ではないだろうか。