文庫の平台には出版社が送ってきたPOPや僕の書いたPOPなどがいくつか立ててある。ふと見ると、3才と5才ぐらいの元気な姉妹が仲良くPOPを引き抜きながら歩いている。
雑草と間違えてるんじゃねえかと、僕が顔を引きつらせながら止めに行こうとすると、それに気づいた父親が子供たちに「それは、取ったらダメ!」と厳重注意。父親の手から謝罪の言葉とともにPOPを返してもらい、僕は再びPOPを文庫の平台に植える。
30分後。やっと静かになった店内で、僕が再び文庫の平台に目をやると、無残に握り潰されたPOPたちの姿があった。さっき植え直したばかりのPOPを、今度は僕が引き抜いて歩く。少し前に書いたものだから、ちょっと色あせてたことだし。どうせ、POPがあっても売れてなかったし。新しく書く予定だったし。きっと、これはいい機会に違いない、と思うのもありかも知れない。でも、今度あの子たちを見かけたら「それに触るな!」とはっきり言うと心に誓う。
あの子供たちの将来のためにも、やってはいけない事を覚えておくのは大事なことだろう。よりによって三国志のPOPにあった北方謙三の顔を握り潰すとは、恐れを知らない子供たちだ。