岡田明広VSピューマ渡久地(日本フライ級) | ボクシングライフW

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趣味と言うよりライフワークになっているボクシングについてとりとめもなく感じたままに

司様のリクエストにより27年前の試合の観戦記。


当時、私は大学生だった。ネットが一般的でなく、ケータイ電話が自動車電話と呼ばれ、ポケベルとPHSの時代。新聞のスポーツ欄を見ない様にして、友人から試合の2日後にビデオが届いてボクシング鑑賞をしていた。


気掛かりは映像を再生できるか?


27年前にVHSで録画したものをDVDに移し、更にBlu-rayに移してから15年近く経つ。その間、一度も再生していない。


心配だったが………意外と綺麗に再生できた。

今では考えられない大観衆↑

初回、渡久地が岡田を追い回す。一回り大きい岡田は足を使って距離を取ろうとするがラスト10秒、渡久地の左フックを浴びる。

因みに当時のTBSボクシングは画面に表示されるタイムは0からスタートし3分でゴングが鳴る。他局は3分からスタートし、0秒でゴングが鳴った。

2ラウンド、渡久地の勢いが止まらない。左フック、左ボディが岡田を襲う。

3ラウンド、岡田の左右ショートが当たりだす。ヒット数は岡田が上回るが単発ながら与えたダメージは渡久地。ゴング後に渡久地の右が岡田を捕らえ、岡田側の花形会長が激怒。

4ラウンド、渡久地は失速。岡田はボディに狙いを定め渡久地のスタミナを削る。

5ラウンド、渡久地の後退が目立つ。岡田の左フックが印象的。

この時代、中間採点はないが私的採点は1~3ラウンドが渡久地、4.5ラウンドが岡田。

6ラウンド、岡田の手数が勝る。単発の威力は渡久地だが数が少ない。ラスト1秒、岡田の左フックがクリーンヒット。

7ラウンド、前に出るのは岡田だが、下がりながら放つ渡久地の右の方が優勢。

8ラウンド、この試合が物議を醸す原因となったターニングポイントを迎える。4ラウンド以降、後退の目立つ渡久地が前進。パワーで岡田を下がらせる。
ラスト1分、岡田はショート連打で反撃。そしてゴング10秒前、岡田の右を避けた際、渡久地がスリップ。

立ち上がる渡久地に岡田の右がテンプルを捕らえる。

渡久地ダウン………のはずがレフェリーはゴング後との判断。

佐藤仁徳VS山中郁夫の右フックが有効なら、これはダウンだと思うのだが………微妙な裁定。
ただし、岡田はゴング後とわかっていたのか不満は無さそうに感じた。

9ラウンド、岡田の右フックで渡久地のマウスピースが跳ぶ。ラスト15秒、岡田がラッシュ。

ラストラウンド、どちらもガス欠気味。岡田は頭を低くしてショート連打をまとめる中、試合は判定へ。

判定はユナニマスで渡久地。
リングに物が投げ入れられる。
だがよく見ると赤コーナー側からばかりで、会場全体は渡久地への声援、両雄への拍手の方が多い。

有名な「岡田にベルトをやるよ」を渡久地は連呼。これも渡久地らしい。

試合後、テレビでは岡田のインタビューまで流れた。
素直に渡久地のパワーを称えていた。

因みに私の採点は1.2.3.7.8ラウンドが渡久地、残りが岡田で95―95のドロー。

ただし、これは今の基準で振り分けた採点。
当時は軽い連打より重たい一発の方がポイントになりやすかった。その為、6ラウンドは今なら岡田、当時なら渡久地かも………と感じた。また、今より10―10が許容された時代である事も付記したい。

8ラウンド終了時の一撃は岡田からすれば惜しかった反面、渡久地の立場からすればゴングが鳴って気を抜いた瞬間にパンチを貰い余計なダメージを負った。
その為、9.10ラウンドを奪われたとも解釈できる。

この試合で細野戦に続き連敗となった岡田は引退。
再戦が実現しなかったのは残念だが、座嘉比勝則、神藤太志、そしてピューマ渡久地との3試合は忘れる事の出来ない激闘だった。

岡田をKOした座嘉比(公式結果は引き分け、今は無い延長戦でストップした)は後の世界王者 山口圭司に敗れ無冠に終わった。
岡田は日本王者になった。そのキャリアは胸をはれる物だと思う。