愛されていると思っていいの?
あなたは言ってくれないけど
大切なリングを私に贈ってくれた
これからは いつも一緒
離れていても いつも一緒
信じていいよね?
愛されていると思っていいの?
黙って手を握ってくれたよね
強くなれって
抱きしめられるより ドキドキした
キスよりもあなたを感じられた
信じてもいいよね 愛されているって
信じてもいいよね あなたの愛
深い愛
熱を持ちながらも穏やかな愛
愛されていると思っていいの?
あなたは言ってくれないけど
大切なリングを私に贈ってくれた
これからは いつも一緒
離れていても いつも一緒
信じていいよね?
愛されていると思っていいの?
黙って手を握ってくれたよね
強くなれって
抱きしめられるより ドキドキした
キスよりもあなたを感じられた
信じてもいいよね 愛されているって
信じてもいいよね あなたの愛
深い愛
熱を持ちながらも穏やかな愛
明るい光景が浮かばないのは
性格のせいなのか?
悲劇のヒロインぶって・・・
そうね そうよね そう思うよね
こういう自分に きっと酔ってるんだと思う
日常は不自然なくらい 明るく振る舞っているから
その反動か?
沈み気味の自分が 好きかも
ホントの自分て どんなだろう
あまりにいろんな人を演じすぎて もうわからなくなってしまった
ホントの??
作り物だという気はしていた
空っぽの中身を何とか隠したい?
外側から見てみたいよね
どんなだか・・・
やっぱり自分を守ってると思うから
麻衣の心は少しずつ章吾に向かっていた。
そうではない。
尚に向かっていた。
章吾といるとなぜか尚といる錯覚を起こしてしまう。
二人が上手くいっていた頃を思い出す。
手を繋いだ時なんてあの頃そのままなのだ。
なぜだろう、もうとっくに諦めたことなのに・・。
章吾に対して不思議と素直になれるのも、尚を重ねているからなのかもしれない。
二人の外見が似ているのかといえばそうではない。
尚はどちらかと言えば童顔で二枚目半という感じ。
一方章吾はどこから見ても誰が見ても間違いなくイイ男だと言うだろう。
女の子が好きそうな顔をしている。
静かな瞳から放たれる輝きは心深くに沈んでいる何かを感じさせる。
全く似ていない二人をなぜかそう感じる麻衣だった。
「これからどうします?」
「私はちょっと行きたいところがあるの。
ドライブしてくる。
車だから行くところがあれば乗せて行ってあげるよ。」
「これからバイトなんだけど、草野さんのドライブに付き合おうかな?
ダメですか?」
住んでいるところも何をしているかも知らない。
『章吾』という名前と麻衣の物語の読者だということ以外何も・・。
「一人がいいんだけど・・。」
「邪魔はしませんから。
ねっ、バイトキャンセルしてきます。」
あの屈託のない笑顔を向けられると強く『ダメ』だと言えなかった。
「車を表に回すから外で待ってて。」
麻衣はそう言って席を立った。
「ちょっと、あなた彼とどういう関係?」
若い女の子が不機嫌そうに麻衣に詰め寄る。
今風と言うのがぴったりの子たち。
いくら流行だとはいっても、この手のタイプはどうも好感が持てない。
「彼??
あ~、今のね。」
「一緒だったところ見てたんだから。
彼は店の外で私たちと会ったりしない。
なぜ、あなただけが特別なのよ。」
麻衣には彼女たちが何を言っているのかわからなかった。
「とぼけないで本当のことを言いなさいよ。
私たちがよく行く店のバーテンダーなのよ。
とても人気者なのよ。
いくら誘っても外で会ってくれないの。
そこが何とも言えないんだけどね。
なのに、どうしてあなたと、あんな風に会ったりするのよ。
今度はあなたが話す番よ。」
「ふ~ん、そうだったの。
確かに、彼の容姿は整っていますね。
私は特別でもなんでもありませんよ。
何の関係もありませんから。」
「もっとわかるように説明してくれないと全然わからない。」
「あっ、あなたって・・草野 麻衣?」
もう一人の子が突然言った。
「そうです。」
生意気そうなあの子に比べて、彼女は少し雰囲気が違っていた。
頭を使って生きて行けるタイプとでもいうのだろうか。
「やっぱり・・・。
どこかで見たことがある気がしたから。」
「誰?
その草野なんとかって・・。」
「作家だよ。
そして、山村 尚の・・。」
「まあ、そんなところです。
彼は熱心な読者、それだけです。
心配ないです。
話題が豊富なこともそういう仕事だったら必要なんじゃないかしら。」
麻衣が笑いながらそう言うと彼女たちも納得した様子だった。
「それじゃ。」
彼女たちも最後には笑顔を見せた。
笑顔の奥には、そう言うことなら彼の行動も納得できる。
私たちがこの女に負けてるはずがない。
そういう自信に満ちた時の笑顔だった。
何も知らない章吾は息を切らしながら笑顔で駆けてきた。
「ごめんなさい。
バイト断るのに少し手間取ってしまって。」
「無理して休まなくていいのに。
私は一人がいいって言ったでしょ。」
麻衣はさっきの出来事を話さなかった。
章吾に対して特別な感情は無い。
自分の物語を読んでくれている人、それ以外は何も・・。
「さあ、乗って。」
麻衣は車の間を縫うように右へ左へと走り抜ける。
車に乗ると性格が変わるタイプかもしれない。
運転免許を取ってもうすぐ十年がくる。
運よく一度も取り締まりに引っかかることも無く、事故も無い。
車も7年も乗っているようには見えない。
いつもピカピカ。
黒色のスポーツカー。
車検の度に尚は新しいのに乗り換えればと言うが、麻衣はこの車と別れられない。
「尚があの車を欲しいと思うなら買えばいいよ。
でも、私は今迄通りこの車に乗るから。」
「よっぽど好きなんだな。」
「何となくね。
もう一人の恋人のような、弟のような。」
この車が好きだった。
躓いた時に立ち上がる力
それをあなたが与えてくれた
今度は 私が支えになるから・・
そうやって生きて行きたいと願ったけど
あなたはそれを望まなかった
一人にして欲しいだなんて 哀しすぎる
そうやっていつも大事なところに 私を入れてくれない
そんなに嫌?
弱いところを見せること
そんなに嫌?
傷ついた心を見せること
そんなに嫌?
私は 待ってていいの?
それとも いなくなった方がいいの?
せめて・・・
これ以上 あなたを苦しめたくないから
突然目の前に現れた少女
「その後 二人はどうなりましたか?」
一瞬 何のことかわからなかった
少女が大事そうに抱えている本(それ)を見て 納得する
その先は無いことを伝える
少女はとても寂しそうな顔をして
私をじっと見つめる
その先に広がったあなたの世界を 私に見せて欲しい
少女は少し困った顔をしたけど にっこり笑って頷いた
こんな出会いが たまらなく嬉しい
自由に広がっていく世界が たまらなく愛おしい
何処かの誰かが・・・
そう思うと この先も続けて行けそうな気がしてくる