久しぶりに会った元カノ


「元気そうだね・・」そう声を掛けた


突然思いもしない人に再会した時


何と言って声をかけたらイイ?


気の利いたセリフが思い浮かばない


驚きを隠すこともできない



「そうね


私はこの通り元気よ


あなたも元気そうで良かったわ」


感情のない返事



あの頃・・二人が別れた頃・・


欲しいモノ二つを一度に手にできないと ボクは思ったんだ


望まない別れにはなったけど 別々の道を選んだ


後悔?


そんなことしない


信じて進むしか道は残されていなかったから



時が流れ 偶然に再会した今


胸の奥で燻っている何かに気が付いた


他の誰かとも付き合ったりもしたけど


何か違う気がして 長続きがしない


彼女でなきゃダメだったのか?


今になって気が付いた


どこから来るのかわからない 身勝手な自信


「もう一度 付き合ってほしい・・」


そんな思い付きのような告白



優しい笑顔 穏やかな口調


あの頃と 同じ


・・なのに ボクを見つめるあのキラキラした輝きが無い


「いま好きな人がいるの」


そう言い残して彼女は去った



今のボクがキミにしてあげられることがあるとすれば・・


それを考えていると眠れなくなる


今のボクはキミを幸せにしてあげられそうになから



今の私が何を望んでいるか知ってる?


会いたい


それだけなのに・・


いろんなことを気にして私のところから去ったけど


会いたい 会っていたいだけなのに・・




わかり合いたい気持ちがあるのに なぜ遠ざかってしまうのだろう


追いかければ追いかけるほど・・遠くなる



ボクはキミに相応しい男になるために


必死に前を向いて キミの後を追う


追いつけないのは ボクの力不足


もっと もっと頑張って進まなければ・・


待っててくれ もうすぐ行くから





キミはどんな時も振り返らず強気だな


そうあなたは言った



いつもはっきりしなくて 


取り戻せない過去を未練いっぱいで見つめていた


いつも下ばかり向いて歩いてた


まわりの人たちも嫌いだっただろうけど


私が一番そんな私を嫌っていた


こんな毎日をこれからも過ごしていくのだと思っていた


いつか こんな私にも光が射す時が来るかもしれないと・・


・・正直 そんなことは思ったことはない



だからと言って 死にたいと思っていたわけでもない


生きたかったわけでもない


代ってあげることができるなら 


生きたくても逝かなければならない誰かと代ってあげてもいい


・・それくらいのことは思っていた



そんな私を彼女が変えてくれた


あの出会いから10年



強気なんじゃないよ


そうありたいと思ってるだけ







あなたの大きな愛に助けられている


あなたと私 きっと幸せに暮らせる


一瞬 そんな二人の未来を描いたりもした


でも 彼のことが気になってどうにもならない


危なっかしくて 目が離せない


そんな頃から 私は彼を愛し始めていたのかもしれない



あなたは きっと気が付いているよね


『キミは嘘がつけない人』 哀しそうにそう言った


『ボクはキミ以外 考えられない』 真っすぐなその目


『重荷に思わなくていい 見守らせて』 差し出された温かい右手



涙は見せまいと必死に堪えたけど 溢れてくる



きっと傷つけてしまう


違う・・もう傷つけてる


私に優しくしないで


私を愛さないで


愛さないで・・




















「抱かせろ」 そう言っていつも突然やって来る


そんな彼のささくれた心を慰めていると思ってた


いつの間にか彼がやって来るのを待っていた


慰められていたのは 私だった



『気持ちが 重い』 そう言われた時


もう誰のことも愛さない


もう誰のことも愛せない


感情は持たずに ひたすら生きることに熱中しようと思った


もともと人と付き合うことは苦手だったし


笑顔とか 素直さとか 可愛らしさとは 程遠いところにいたから


面倒がなくなって 返って良くなったとも思った



そんな私の日常に 突然現れた 彼の存在


心の中を 風が通り抜けるのを感じる


頑なに認めようとしない感情


見ないように素通りしようとする


歪んでる


認めるとこれまでの自分が 惨めで 可哀そうで・・


このまま 気づかない振りをしていようと決めた



いつものように彼はやって来る


「抱かせろ・・」