金曜日のご飯の際、放送作家の野呂エイシロウさんも「面白かった」と言っていた

40万部突破の話題の本。

林真理子さんの著書『野心のすすめ』を読みました。


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「野心」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
『野心のすすめ』には、こんな風に書いてあります。


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世間で「野心」といえば、腹黒かったり身の程知らずであつかましいイメージが先行していますよね。「野心家」となると、もうほとんど悪人扱いです。

実際に、辞書で「野心」を引いてみました。まずは「人に慣れ服されないで、ともすれば害しようとする心」「身分不相応の大きな望み。野望」(『広辞苑 第六版』)という定義が並んでいます。

三番目が「大きな飛躍を望んで、新しいことに大胆に取り組もうとする気持ち」です。有名なクラーク博士の言葉「少年よ、大志を抱け」<Boys, be ambitious>の「大志」の意味。

私が本書で提唱したい「野心」も同じく、「もっと価値ある人間になりたい」と願う、とても健全で真っ当な心のことです。


~『野心のすすめ』より引用~

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私は、中学生の頃から林真理子さんの本が好きです。

高校生の時に、一番好きだったのは『茉莉花茶を飲む間に』

南青山の紅茶専門店を舞台にした、6人の女の子を主人公にしたオムニバス形式の物語です。(今は 絶版重版未定なんだそうです 悲しい・・・)

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ここにも、野心を持った普通の女の子達が出てきます。

林真理子さんの書く野心とは、「昨日よりちょっとでも向上していたい」「自分らしく生きたい」という頑張りのことです。

ちょっとズルくぬけがけしようとすると、結局自分に返ってきたりすることも描かれています。

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『野心のすすめ』ですが読んでいたら、足りないモノを渇望して上を上をと目指していた、ヒリヒリするような80年代の感じがしました。

林さんらしいな~、という書き方。

なんだか、自分が学生の時に戻ったような気持ちになりました。


林さんがすごいのは、自分の欲望に素直なところ。
そして、努力を惜しまないとことです。

バッシングを受けるのを覚悟で発信したり、新しいことにチャレンジしたりする勇気と覚悟は本当に素晴らしいと思います。


林さんと同じように、林さんの文章も、素直で分かりやすく、でもパワフルでジリジリとした焦燥感がある。

空想の物語ではなく「生きている!!」という生々しさがあります。

こういう文章の書き方をするのは、自分自身をさらけ出すことだから、相当な覚悟がいるはずです。

「書くこと」でお金をいただくというのは、そんなに生やさしいモノではありません。

読みやすいから自分にも書けるというのは大間違い。(星新一さんの‎ショートショートなんて、その最たるモノです)

文章には、その人の生き様が表れるのです。


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~『野心のすすめ』より引用~


・世の中は理不尽なことで溢れていて、自分の思い通りになることなどほとんどありません。だけど人間は努力をしなければならない。


・二十代で頑張った結果は三十代の人生に反映されるし、三十代に努力したことは四十代の充実感にそのまま比例します。


・野心は習慣性のある心でもあります。勝ち気な人って非難されたりもしますけど、一度も勝ったことがない人は勝ち気にさえなれない。どんなに小さなことからでもいい。人に認められる快感を味わい、勝った記憶を積みあげていくと、人格だって変わっていくんです。


・運とは、友人に引きずられるものだと思います。運が強い友人って、明るいし、よく食べて、声も大きい。そして自分の仕事に誇りを持っている。会話をしたり一緒にいるだけで楽しい強運の友人たちは、みんなよく笑います。

前にも述べましたが、私は運というのものは実態のある不思議なものだと捉えています。もっと具体的に言うと、ふだんは空気中のどこにでもふわふわと浮遊していて酸素のように飛び交っている“強運の素”は、溌剌として明るいオーラを出している人だけ止まるものだとも思っているんです。

~中略~

人生は山あり谷あり。しかし、運気と友人は貯金できるものなんです。


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最後に引用させていただいた林さんの言葉で、あるサイキックの方から聞いた「ウツになる原因のひとつ」のお話しを思い出して、びっくりしました。

ウツの素というのは、林さんが書いている“強運の素”のように空気中にふわふわと浮遊しているのだそうです。

そして、強運の素とは反対に、弱っている人のところに止まって、その素が定着するとウツになってしまうのだそうです。(元気な人には定着できない)

林さんがご自身の人生から導き出した感覚は、研ぎ澄まされたセンサーによるものなのだと思いました。


『野心のすすめ』。

野心のすすめ (講談社現代新書)/講談社

¥777
Amazon.co.jp


林さんの他の本と同じく賛否両論らしいのですが...

私は、大好きです。

足りていない自分に対する焦燥感や、自分は何者でもないと実感し、みじめな気持ちになった後にどう行動していくか。

そのバイタリティを持つことが大切であり、野心というのは「向上していきたい気持ちの表れ」なのだと、その気持ちに共感出来る方にオススメいたします。


ちなみに、偶然ですが本書の中には大好きな作家さん達

・森瑶子さん
・山田詠美さん
・江國香織さん

のお名前が出てきました。

本も人と一緒で、出会うタイミングがあり、必要な時期があり、ずっと一緒にいたかと思えば、好きなままでも離れる時期というのがあります。

森瑶子さん、山田詠美さんは、林真理子さんの本と同じ時期に一番愛読していたので、とても懐かしくなりました。

そういう意味でも楽しめる本でした。





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