久々に、家の性能シリーズ!です。今日は風に焦点を当ててみます。 

 

以前の記事で雨、湿気については触れてみました。国総研という国の組織が”長持ち住宅ガイドライン”なるものを発行してて、内容はだいたいそれに準じて書いてる(つもり)ですが、強風は特にガイドラインに触れられてませんので私が個人的に調べた内容ベースです。あしからず。





家の広告ではよく耐震性能、最高等級!とかデカデカ書いてたりしますが、それに比べると風の扱いはちょっと弱い。


でも日本に住んでると台風も定期的にやってきてて脅威としては小さくないです。沖縄の人たちには当たり前の話なのかもですが。国の性能評価では耐風性能も 1 or 2と用意されてます。

 

  • 風の力ってどんなもん?
  • 風による被害
  • 対策としてできること

 

 

 

  風の力ってどんなもん?

家のかたちとか立地でも大きく変わるらしいので単なる目安かなとは思いますが、

2階建て、間口が7メートルぐらいの家で風速40-50メートルの風が吹くと、壁面全体では7-8トンくらいの力がかかる計算だそうな。

 

家を横向きに寝かせて、その上に軽自動車が7-8台乗ってる・・・と思うと、さすがに大丈夫?って気持ちが沸いてくる。


この力は風が壁をまっすぐに押す力。でも実際には風は壁をまっすぐ押すだけじゃなくて、壁に当たって上向きに流れ屋根の端なんかに強い力がかかります。その力で屋根材が剥がれたり、雨樋や軒部分に被害が出たりする、と。


なので壁自体を強くするのとあわせて、それとは別に屋根部分などもダメージが出ないようにしっかりと固定する施工が必要になるみたいです。


 


  風による被害

強風で倒壊することもなくはないみたいですが、屋根材/外壁の剥がれや、物が飛んできてガラスが割れるような被害が大半のようです。


令和元年の台風15号による被害は色んな研究の対象になってるようで、興味深いもの出てきます。(たぶん耐風被害調査に特別な研究予算/科研費がついたんでしょうね)


京大の調査では家の年代や屋根材/形状などの分類ごとに被害の割合を整理されているので、傾向みるのに興味深い資料。

http://www.taifu.dpri.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2020/04/3-2-2.pdf


書いてあったこととしてはざっと:

  • 「新しい家ほど被害発生率が下がる」といえるほどの傾向はなく、新しい家でも被害は出うる。
  • 1990年より前の家では50%超の家に被害、一方1990年以降は30%超(新しいほど低いわけでもない)
  • 外壁材ではALCとモルタルが台風被害の比率が高い。
  • 屋根では瓦が被害を受ける率が高い。


ALCはちょっと意外。もちろん諸条件が色々違うんでしょうが。



  対策としてできること

まずは倒壊しない、風が吹いても家自体へのダメージを避けたいところ。その意味では耐震等級だけじゃなくて、耐風等級もきっちりと気を払うと良さそうです。


耐震等級が3の家なら風も大丈夫?かというと、必ずしもそうではない、という感じみたい。

もちろん地震の強度があるほうが風にも強い可能性が高いものの、地震と違って風の力は壁の面積が広いほど強くなったりするので風の方がより強度必要なケースもあるみたいです。


あとは屋根材の強風対策。特に瓦を選んだ場合、令和4年から新しいガイドラインが出ていて、必ず全ての瓦を固定するようになってます。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001387862.pdf

以前のガイドラインでは全部どころか、屋根外周の瓦だけ留めればよいという指針だったらしく、そのあたりは確認してみてもよいのかも。


最後に飛来物対策ですかね。これは窓のの外にシャッター付けるくらいしか手段なさそうな気がしますが、シャッターあったら物が飛んできても大丈夫!なわけではないのでご注意を。そんなに強度はないようなので、おそらくシャッターが壊れて修理する感じですね。

同様に防犯ガラスも壊れないわけではなくて、壊れてもガラスが飛び散らないくらいなので結局被害としては出てしまいます。


あとはカーポートなんかは耐風性能が製品ごとに規定されているので、選ぶ際の参考にしてもよさそう。

カタログの値は保証された値ではなく、その強度がでる想定で作っているよという目安らしいですが、どのメーカーもそうなのでまあ信じるしかないですね・・。

 


  まとめ

 

このシリーズ、最後はいつも住友林業の風対策!を書くところなんですが、ここは正直よくわかりません!


瓦屋根の人も、ガイドラインで義務化されているものは大手では流石に大丈夫だと思いますが、耐風性能は標準で1 or 2のどちらかになるようなので、気になる方は設計打ち合わせで早めに確認しておくとよいかも。(うちはどうだったのか知らない・・。)


細かい安全性を考えるなら最終的に構造計算になってしまうので、 地震だけじゃなく風もしっかり計算した上で家の構造を決めてもらってるのか聞いてみましょう!