安青錦が新大関で優勝した。
もちろん綱取りが期待されるわけだが、どのあたりがボーダーとなるか。
横綱昇進時に考慮されると思われる各要素を評価してみよう。
<表 彰> 優勝 ○
<星 数> 12勝 ×
<大関在位> 2場所 ×
<大関実績> なし ×
<前々場所> 優勝(関脇)◯
<安定感> 入幕以来11勝以上 ○
<対横綱> 豊昇龍戦無敗 △
<相撲内容> 前進、真向勝負 ◎
<将来性> 21歳、目立った怪我なし◎
<番付状況> 2横綱健在 △
不調とはいえ2横綱フル出場した中での優勝で、ケチはつかない。
当たり前だが、来場所も優勝なら基準を満たすし、準優勝でも「準ずる」に値する。
ただし、星数は12勝と最低限。
令和では大の里、照ノ富士も12勝での優勝が起点だったが、それ以前だと北勝海だけ。
(稀勢の里らは優勝でもない12勝以下の例はあるが、その場所が起点になったわけではない)
大関2場所での突破なら、双葉山以来の快挙だが、
微妙だった場合は「時期尚早」「もう1場所見たい」との常套句を頂戴する。
直近で新大関優勝を果たした白鵬は、14勝ー13勝の好成績ながら見送りとなったのがまさにそれ。
大関3場所目の貴ノ花も同成績、しかも決定戦に進出しながら時期尚早とされた。
それまでの大関としての実績を考慮してといった論功はできないのも不利な要素だ。
なお、双葉山は69連勝中で、年2場所時代の連続全勝で文句なしだった。
再大関からなら照ノ富士が2場所突破を果たしているので参考になる。
前々場所の成績も論点になることがある。その場所は関脇になってしまうので実績に加算しにくいが、優勝である。
照ノ富士も同じで、綱取り場所に3連覇を賭けるという異例の展開だった。
いくら大関としての実績が対象とは言っても、連覇中というのは大きい。3連覇で昇進させないとなると、玉錦以来となる。これは超異例。したがって、プラスに働くとみる。
横綱戦の成績は、豊昇龍をスイープしていることで十分。大の里には勝ったことがないが、それはあえてケチをつけるなら、玉に瑕というものだ。来場所次第のところもある。
相撲内容は抜群。軽量に属する体格ながら、変化など一切見せず、引き技すらほとんどない。ケチの付け所が見当たらず。21歳という若さも魅力で、さらに体ができて馬力が増す伸びしろも期待できる。
プラス要素モリモリではあるが、逆にだからこそケチのつく成績で(Hのように)昇進させるよりも、文句なしの昇進を待とうという意見も出るかもしれない。
若い2横綱がいて、豊昇龍の時のように慌てて横綱が欲しい状況ではない(言うてもうた)。
まとめると、こういうことになる。
・3連覇は重い
・中途半端なら時期尚早論浮上
これを前提に、シミュレーションしてみよう。
【確実】14勝以上で優勝<ケース大の里>
さすがに文句なしだろう。これでダメなら最初から綱取り場所ではない。
【有力1】13勝で優勝
まずまずの成績での3連覇。星は弱いが、成績は右肩上がりで今後が期待できるので、昇進となるだろう。
かつては2敗目で早くも絶望と言われてしまった綱取り大関もいたが、当時が異常な厳しさだった...(四国新聞さん、どんなサーバーしてたら20年以上前の記事が見られるのだろう)
https://www.shikoku-np.co.jp/sports/general/20030518000261
また、千代の山が新大関から13勝ー12勝の連覇で見送られている例がある。大関2場所目というのも同じ。千代の山が上がれなかったのは先輩横綱の体たらくという外的要因のせいとされるが、星数やキャリアの面で不足していたのも確かだ。これは横審の昇進基準が定まる前の話なので、あくまで参考。
厳しく見られた例を2つも挙げたが、平成末期以降の流れでいうと昇進は有力だと考える。
【有力2】14勝で準優勝<ケース照ノ富士>
3連覇の重みはなくなるが、優勝に限りなく近い好成績。まさに照ノ富士がこれで、連続優勝からの14連勝。この時点で横綱は確実視されており、千秋楽全勝決戦は横綱を賭ける一番とは見られていなかった。冷静に数字を見ると2場所で上げるには決め手に欠く星数だが、文句なしで昇進させてからまだ5年弱。違いを説明することは難しく、昇進は有力だろう。
【難問1】13勝で準優勝<ケース豊昇龍、北勝海>
散々甘いとコキ落ろされた1年前の逆パターンとなる。
慌てて横綱のいらない状況で上げる成績か?との問いには詰まるだろう。自己最高の好成績ではあり、もう1場所見て13勝が続くなら優勝しなくとも昇進、とステップアップさせる形がいいだろう。
しかし、前年昇進させたばかりの成績と近似するのに、今度は否定しては自ら誤りだと認めたと言われかねない。豊昇龍には大関としての経験があったが、マイナスにはなってもプラスになる要素もなかったので、今度はダメという言い逃れもしにくい。優勝同点だったり横綱戦の内容によっては十分同格だと言う理屈が立ち、昇進の流れになるかもしれない。
ちなみに、これは理事長と全く同じケースとなっており、2差をつけられながらも昇進している。それを言われると弱い?
【難問2】12勝で優勝
3連覇!しかし全て12勝。なかなか難題である。横審の昇進基準ができてから、未だかつて連覇で見送られた例はない。内規は満たす。12勝はダメなどとは書いていない。しかしこれで上げてはさすがにまずくないか。優勝なしで昇進した力士はいても、13勝以上をしたことがなくて昇進した力士はいない。
2場所連続優勝ではあっても、力量抜群ではないという解釈で、審判部、もしくは横審で見送りはできるだろう。しかし、世論に押されて杓子定規に認められそうで怖い。個人的には、ぜひ横綱昇進を決める機関の矜持を示してもらいたいところである。もちろん星数だけでなく内容を吟味した上での結論であれば尊重したい。
