令和6年春場所千秋楽展望 | 三代目WEB桟敷

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優勝争い

 

空前絶後の展開を見せた春場所も大詰め。

2差をつけて絶対的有利に立つ新入幕尊富士が、まさかの負傷。

朝乃山に右四つを許して寄り切られた。取組上は変な点はなかったが、右足首付近を痛めたようで、付け人の肩を刈り、車椅子で花道を引き上げた。

平成13年夏、全勝貴乃花が14日目武双山の巻き落としに膝を負傷した場面が蘇る。この時は自力で引き上げたが、尊富士に強がる余裕はなかった。大ピンチか。

後続が敗れれば優勝決定だが、大の里は小結阿炎を叩き込み1差に。大関豊昇龍は動いて右上手、そのまま上手投げを仕掛けたが、琴ノ若が体を寄せて雪崩込むと押し潰された。批判されたばかりの変化で自滅、脱落した。

 

大関ではなく前頭筆頭の朝乃山を当てた慧眼を讃えられる審判部だが、例によって打ち出し後の発表となる千秋楽の取組は悩んだだろう。自由度の高すぎる尊富士の相手、ただでさえ難しいのに出場も危ぶまれるが詳細は不明という故障情報が入ってしまってさらに混乱する。

大の里ー豊昇龍

尊富士ー豪ノ山

対戦相手は調子重視で選ばれた。誤魔化して勝てる相手ではない。

尊富士が相撲を取れる状態かどうかわからないが、鍵を握るのは豊昇龍。14日目勝っていれば、この一番が事実上の優勝決定戦となっていたかもしれず、落胆は大きい。4敗となっては綱取りにも繋がらず、全くモチベーションのない一番となるが、入門1年の相手に大関が負けるわけにいかないだろう(すでに1人完敗したが)。意地を見せるか。

 

不戦勝で4勝10敗となった霧島。平成3年春も首位北勝海が前日に負傷、1差の大乃国は勝てばかなり有利な状況だったが、綱取りに失敗して4勝10敗と崩れた先代の大関霧島に敗れて優勝を逃した。大の里(1差)ー霧島(4-10)、歴史は繰り返すかと思ったが、さすがになかった。遊んでいる場合ではない。

 

 

 

三賞予想

2強が新鮮味と活躍ぶりで飛び抜けており、複数受賞が相当。

相撲内容から、尊富士には技能賞を与えるべきだろう。大の里はまだ技能は評価できない。

両者の敢闘ぶりは十分。

殊勲賞は初挑戦とはいえ脱落した大関を倒しても評価しづらく、ならば優勝した方か。

尊富士は三賞総なめの期待がかかる。

豪ノ山も評価したいが、両者との比較となると千秋楽尊富士を破って11勝という条件がつくか。

髙安に中位で二桁くらいで敢闘、朝乃山を殊勲と讃えるのは元大関に失礼か。

ちなみに照ノ富士を破った4人は全員負け越した。

 

殊勲 尊富士、大の里(優勝した方)

敢闘 尊富士 大の里 豪ノ山(勝てば)

技能 尊富士

 

 

 

千秋楽好取組

十両 

優勝を争う水戸龍、大翔鵬、欧勝馬はもちろん、

生田目ー千代栄 幕下5枚目4−2と十両最下位7−7。入れ替え戦。

紫電ー宝富士 7−7同士。筆頭宝富士、1場所での復帰なるか。

時疾風ー白熊 7勝同士(白熊は2休) 筆頭時疾風、新入幕なるか。

 

幕内

遠藤ー御嶽海 下1枚で9敗の遠藤はすでにかなり苦しいが、一縷の望みをかけて

大奄美ー髙安 幕尻大奄美7−7。3年ぶりの幕内勝ち越し、残留をかけて、まさか10勝している中位の元大関が相手。ちょっと気の毒。

翠富士ー佐田の海 7−7対決。ベテラン佐田、今場所も取り直しを演じて7勝7敗と相変わらずのハラハラ。

大栄翔ー平戸海 大栄翔敗れれば平幕転落へ。4枚目平戸海9勝なら昇進ある星だが、枠を空けても1枚下の大の里が優位。