令和6年初場所 久々上位陣による優勝争い 佳境へ | 三代目WEB桟敷

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  11日目を終えて

早かった下位好調力士の抜擢

3場所連続休場明け横綱照ノ富士は2日目に土がついて心配されながら、破綻をきたさず2敗で終盤へ。綱とりの霧島は相変わらずエンジンのかかりが遅く2敗を喫したが、突き押し相手にも廻しを取らずに勝ってしまうほどの地力を発揮し、尻上がりに調子を上げそうだ。好スタートの豊昇龍は攻め急ぎの癖が出て中盤崩れかけたが立て直し。調子は落ちていない。途中休場の貴景勝を除く横綱・大関が横一線。


それだけでも面白いのに、2敗の上位陣の上をいく好成績者が前半戦を盛り上げた。大関取りに挑む琴ノ若は5連勝のスタートを切り、土がついても立て直した。7連勝でトップに立った朝乃山は玉鷲の突き落としに土がついた上に離脱。琴ノ若とともに1敗で首位に立ったのは平幕2人。するといつも下位力士の抜擢が遅い審判部が、早くも動いた。10日目から阿武咲は霧島、照ノ富士と当たり、善戦及ばず。新入幕大の里も琴ノ若との首位対決が組まれ、完敗。翌日には大関戦が組まれ、豊昇龍の投げに敗れた。両者さらに上位戦が続く。


単独首位の琴ノ若を、上位陣3人がピッタリ追走して優勝争いは佳境を迎える。近年上位力士が埋もれる大混戦か、1人が抜け出て僅差にノーマークの平幕がいるだけといった展開が目立ったが、今場所は上位陣の踏ん張りと早めの下位力士抜擢によって、まだ相互に対戦のない上位力士による混戦が久々に実現した。


こうなると、最終盤は優勝を左右する直接対決が続き、どう転んでも白熱する。誰かは崩れて10勝程度に終わるだろうが十分役割は果たしたと言える。もしも満遍なく潰し合って優勝ラインが下がると、上位戦を終えて3敗に残る若元春ら平幕勢もワンチャンスあるかもしれない。