昭和57年夏場所 概要 | 三代目WEB桟敷

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トピックス

千代の富士初の連覇

朝潮3場所ぶり挑戦も返り討ち

優勝

千代の富士

横綱

13勝2敗

決定戦

記録

同一カード決定戦、一方が関脇以下は唯一。

序盤終えて横綱大関関脇揃って4勝1敗

全階級で決定戦 制度下初

歴史的観点

千代の富士一歩抜け出す

北の湖途中休場も、若乃花が復調し優勝争い

3横綱2大関、2場所目も安定感

前場所からの流れ

56年は千代の富士3回、北の湖2回。57年に入って北の湖、千代の富士と賜盃を分け合う二強時代。前年から不調の続く若乃花は11勝でようやく上向き。二桁を続ける大関隆の里、琴風は3場所目で二桁を割り、ちょっと勢いが萎みつつあるが、昨秋を制した自力は健在。まだ新鮮な顔ぶれだが、油の乗った年代の彼らの安定感は頼もしい。

ここに成長著しい若島津、三役で10、9勝ながら三賞2つと急に存在感を高めた出羽の花が両関脇。大関候補と言われて久しい麒麟児、朝潮も小結に復帰。次の大関を虎視眈々と狙っている。

二強の図式が固まるのか、それとも割って入る者が現れるか。

新入幕は3人。大豊に、玉龍と多賀竜。「たまりゅう」と「たがりゅう」。

この場所の成果

序盤の見事な横一線スタートに見えるように、ちょっと隙はあるが堅調な横綱陣に、昇進の勢いを駆る両大関。優勝争いは、中盤を無傷で乗り切った千代の富士がリード。2差以内で役力士が追いかける締まった展開。終盤に入り故障した北の湖、直接対決で琴風と脱落していくが、隆の里が千代の富士を引きずり下ろしたことで面白くなった。追いついた若乃花、朝潮が最後まで並走した。

結果的には千秋楽に自力で両者を振り落とした千代の富士が、自身初めての連覇を達成。直近1年で4度の優勝を記録し、いよいよ名実ともに角界の主役らしくなってきた。

9勝3敗から上位直接対決を前に休場してしまった北の湖に陰りが見える一方、昨春の休場以降長らくスランプに陥っていた若乃花が、前の場所の11勝に続いて安定感を取り戻して千秋楽まで首位に立ち、健在ぶりは示した。

大関レースでは遅れを取った朝潮が、3場所ぶりの決定戦進出。今度こそ大願成就なるか。それよりも大関に近いのが関脇で3場所30勝をマークした出羽の花。あと1つ、12勝していれば琴風と同じ31勝。当時の基準ならゴリ押しできたはず(前半に平幕黒瀬川、巨砲に敗れたのが惜しまれるが、通算対戦成績でも互角の相手なので、取りこぼしというほどではない。)。一方で躍進が続いていた西関脇若島津は4場所ぶりの負け越し。小休止となった。

平幕上位は軒並み負け越し。下からの突き上げはもの足りなくなってきた。新十両・初代霧島は負け越して陥落。幕下の上位に大ノ国、北尾、保志、寺尾らが進出してきた頃。

三賞

殊勲 朝 潮⑦  当然のように北の湖撃破し、決定戦進出。はや7回目。

敢闘 朝 潮③  実績十分でも13勝なら当然のダブル。

技能 出羽の花② 関脇で11番。正攻法で堂々の2横綱撃破。

三賞は異論のないところだろう。2横綱1大関を破って13勝の小結朝潮は、優勝争いの功も含めて殊勲賞に相応しい。出羽の花は千秋楽も勝って2横綱2大関と上位戦成績では上回るが、前ミツ引きつけての内容ある相撲ぶりは技能賞に回してもいいだろう。

平幕は高砂部屋の両ベテランが10勝に乗せたが、目立った活躍ではなく、2人の受賞者との差は大きいので今場所はノーチャンスで仕方ない。