六日目、3年ぶりに本場所を観戦。
前回は照ノ富士を見るのに午前中から会場入りしないといけなかったが、序二段から2年半で横綱に。大阪で初の土俵入りを披露したが、残念ながら縁なくこの日から休場。負け方が酷かったので、病気の方を心配したが、踵と膝の状態悪化とのこと。最初から出るべきではない体調だったようであるが、簡単には休めないのが一人横綱の厳しいところ。
角番2大関は序盤から連敗して期待薄。正代は4連敗スタートでお先真っ暗。
優勝争いは、新大関御嶽海がまずまずのスタートを見せて引っ張るかに見えたが、早くも内容が怪しくなり、五日目に土。もう三役から全勝が消えた。
五日目にして単独首位に立ったのは、前頭7枚目の高安。昨年は三役で連続10勝をマークして大関復帰を期待されたが、持病の腰痛が出てそこから負傷休場、コロナ禍で全休と低迷を余儀なくされていた。今場所は腰の状態も良いのか、近年取り組んでいるじっくりとした取り口で、力強い投げ技を度々披露。突き押しの威力も健在で、中盤は若元春、碧山、豊昇龍と粘られながらもしっかり守って理詰めで攻め切った。10連勝と首位を快走する。
元大関の悲願の初優勝も見たいが、今場所はそれだけではない。新関脇の若隆景が、四日目霧馬山に敗れた1敗のみでぴたりと追走。うまさ、速さ、力強さが発揮されており、小兵の不利を感じさせない。おっつけ、ハズの基本技術は見惚れるほど。大栄翔には、流れとはいえ送り吊り落としを決め、巨漢逸ノ城に抱えられながらも真っ向寄り切り。阿炎の突き押しも流血しながら跳ね返した。
十一日目は高安がついに役力士戦。いきなり若隆景との首位攻防戦である。
この争いについてきているのが、6枚目の琴ノ若。先場所も千秋楽阿炎との相星大熱戦の末敗れたが11勝を記録。突いたり組んだりと中途半端な印象があったが、気迫溢れる突き押しを繰り出して中位の平幕力士を圧倒。高安の上手投げに敗れた1敗のみで中盤を終え、こちらも十一日目は抜擢されて大関貴景勝戦である。
新大関の御嶽海も1敗で追い上げていたが、十日目北勝富士に左四つ右前みつで食いつかれると呆気なく寄り切られ2敗に後退。
貴景勝も序盤の連敗から立て直してきたが、九日目遠藤に右を差されて小手に振ろうとして自滅。角番は脱出できそうだが、3差がついた。
若隆景以上に期待された新関脇阿炎は、ここ2場所ほど突き押しで圧倒できずに引き、投げを駆使して序盤1敗で乗り切ったが、やはり中盤戦は上位の実力者に逆襲されて4敗となった。自信が揺らぎ出したか、克服したかに思われた引き癖も顔を出してきた。
大荒れの春場所。1勝5敗と最も荒れていた角番正代は、ようやく調子を上げてきて五分の星で終盤戦へ。序盤は全く気力が感じられない惨敗が続いたが、5回目の対戦でようやく豊昇龍に勝ったあたり、開き直った感がある。奇跡的な脱出なるか。
十両も面白い。関取復帰の竜電が順調に勝ち進んだが、炎鵬に止められて連敗。1敗で首位に立つのは、十両2場所目の新鋭北の若。長身でスケール溢れる相撲を展開している。幕内復帰濃厚となった王鵬、怪我から復調したミスター肩透かし翠富士、番人・水戸龍が2敗グループ。
優勝争いに加わる好調力士がフロックとは思えない地力の向上を感じさせる点で、ただの荒れた優勝争いという感じがしない。横綱不在の喪失感を払拭する勢いだ。
一方、隆の勝や宇良が健闘しながらも悪い流れを断ち切れず早々に負け越し。自己最高位で上位戦の可能性もあった石浦や千代の国の休場と、会場を沸かせられる力士が皆期待通りとはいかない。それでも、北勝富士や豊昇龍などそれほど星が挙がっていない力士も見応えある相撲を多く展開しており、声援を贈れない観客からの拍手は、まん防下で満員御礼とはいかないエディオンアリーナに十分響いている。