夏場所の三賞選考を、一足先にしてみようと思う。
実際の選考の流れとは違うが、そこはご勘弁。投票ではなく一人で考えるのに、わざわざ面倒な手続きは踏みたくないわけで。
まず、番付上位から、候補者を挙げてみる。
関脇琴光喜(三役にあってすでに11勝。最近にない安定感をみせてV争いにも加わった)
関脇安馬 (新関脇で勝ち越せば、2大関を倒した実績と敢闘相撲は評価できる)
前4安美錦(1横綱2大関を倒す。技能も冴えた。勝てば二ケタ)
前8朝赤龍(すでに12勝とV争いの次点につけた。前へ出る相撲も多かった)
前10出島 (初日から8連勝など、11番を挙げている。出足、粘りを発揮)
前14龍皇 (新入幕ながら予想以上の活躍で二ケタ勝利。徹底した押し相撲が光った)
普天王、北勝力ら前半戦を盛り上げた力士も頭をよぎったが、後半星を落としてまだ10勝に届かず、「候補」の段階で漏れた。
上記6人を対象に選考に入る。
受賞6人は過去にないわけでもないが、多すぎるので、もう少し候補者を絞る。となると、まだ勝ち越してもいない安馬は他の候補者と比較しても星が劣る。倒した2大関も、共に9勝5敗と平凡な成績だから、当然却下。候補に入れたのは立合いの出足が頭に残っていたことと、新関脇という数多くの力士が跳ね返されてきたポジションでの健闘があったから。
候補は5人に絞られた。それでもまだ多いが、ここからふるい落とすのは難しい。そこで、5人を対象に、各賞にふさわしいのは誰かという視点で最終選考を行う。
まず、殊勲賞―――強敵を倒したという点で、「殊勲度」の一番高いのは安美錦。終盤崩れたとはいえ9戦全勝の横綱から金星を獲った事実に変わりはない。場所の展開を大きく動かした殊勲者であり、2大関まで破っている。成績も勝てば二ケタだが、星は8番だったとしても当然の殊勲賞だ。技能賞の候補にも挙がりそうだが、2つは無理。いつでも取れそうな技能賞は譲って、他に候補のいない殊勲賞獲得が妥当だろう。
殊勲賞は定義が分かりやすいから、決めやすい。5人のうち、一番成績が低い力士から受賞を確定させてしまったが、これは致し方ないところだろう。
敢闘賞・技能賞の定義ははっきり言って曖昧。好成績の力士が、技能が優れている「イメージ」があれば技能賞になり、そうでなければ敢闘賞になる。そんな気がする。よほど敢闘相撲、技能相撲の印象を強く与えれば星は一桁でも受賞できることがあるが、舞の海や安馬など特定の力士に限った例外といえる。
4人の力士を当てはめると、敢闘―出島、龍皇。技能―琴光喜、朝赤龍となる。案外悪くない。
まず、当確が出るのは朝赤龍。12勝してV争いに最後まで残った今場所の功労者。露鵬戦など、右四つになりながらも前褌を引きつけて対抗、胸が合ってきても正攻法で寄り切った力強さ。首捻りの奇手も見せて、技能賞は当然だ。自身2度目の13勝をすれば、複数受賞も考えなくてはならない。しかし、前回の13勝とは違い、上位戦が組まれていない分、候補者多数の事情もあって、一つ受賞が妥当であろう。
続いて龍皇。「新入幕で二ケタ=敢闘賞」という公式にピタリあてはまる。内容も文句なしで、敢闘賞にお釣りが来るほどだ。
残る2人の粗探しをすると、出島は元大関だから、琴光喜は地力からすると当然の成績だから、といういつもの理由が頭をもたげる。しかし、共に12勝してしまえば文句はないだろう。それに過去の実績を理由に受賞できないと言うのも馬鹿げた話で、なぜこんな理由を以って何度も見送られてきたのか、いつも納得がいかない。
ただ、今回は候補者がインフレ状態なので、金利のごとく引締めが考えられる。11勝だと、見送られても仕方ない雰囲気だ。琴光喜に関しては朝青龍戦に惨敗がネックで、千秋楽負ければ倒した上位は魁皇だけとなる。出島も上位に当たっていない11勝では、前半戦の8連勝の活躍を考慮してもやや弱いか。
結論
殊勲 安美錦
敢闘 龍皇
出島(勝てば)
技能 朝赤龍
琴光喜(勝てば)
12勝が条件というのも厳しい気がするが、三賞は各賞一人ずつという理想をもつ筆者としては、これが一番綺麗な案だと考える。