〝若隆景の兄さん〟から主役へ 若元春  | ハッキヨイ!よっちゃん相撲日記

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 熱戦の夏場所を、四関脇が引っ張っている。

  その中で最も安定した強さを発揮しているのが、若元春ではないか。

 

  5日目の相手は、西前頭筆頭の翠富士(みどりふじ)。117㌔の軽量ながら敏捷で鋭い相撲を取る。今場所はまだ勝ち星がないが、相撲内容は悪くない。

 

 その翠富士にたいして、若元春は踏み込んで強くあたり、左を差し、右上手を取って引きつける得意の型。相手の動きを封じて、グイっと寄り立てた。

 

 これで関脇では、ただ一人負けなしの5連勝とした。

 

 若元春と言えば、最近までは、常に先行していた弟、若隆景の兄として注目されてきた。紹介されるときはいつも〝若隆景の兄さん〟がついてまわった。自分でも「弟のバーターですから」と、引き立て役を自認してきた。

 

 それが最近は様変わり。ぐんぐん力をつけ、今場所は関脇を陥落した弟に代わって自身が関脇に昇進。番付で弟の上にいった。

 

 いまや〝若隆景の兄さん〟どころではなく、幕内の相撲を盛り上げる主役の一人だ。

 

 4日目、小結琴ノ若を破った後、「心身とも充実してるから(躊躇なく)前に出られた」とコメントした。

 たとえうまくいっても、自分から〝好調だから〟と口にする力士はあまりいないから、ちょっと驚いた。

 かなり自信もつけてきていると思った。

 

 昨年春場所に新関脇で初優勝を遂げ、大関に最も近いと言われてきた弟・若隆景が先場所、けがで途中休場、右ひざを痛めて手術し、長期の欠場となった。それについて若元春はほとんど口にはしない。

 

 2011年の原発事故で、故郷、そして自身や家族が苦しんできた。弟の引き立て役を自認し、三人兄弟で打ち込んできた相撲をあきらめるわけにはいかないという、強い気持ちが、常に土台にはあるのではないか。

 

 「いまの地位(関脇)とか、(弟の休場など)いろいろあって、恥ずかしい相撲は取れない」という若元春の口から思わず出たコメント。引き立て役から脱し始め、強い気持ちが伝わってくる。

 

 いつものようにのびのびと、気迫こもった相撲を取りきれば、千秋楽には思いがけない結果が生まれる可能性も出てきた。

 

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