歌にもありますが、人生いろいろです。人それぞれ、人生も一人ひとり違うのは当然ですが、逸ノ城の引退表明を聞いて、力士によってもずいぶん違うものだと改めて感じました。
昨年の名古屋場所では幕内初優勝、先場所は十両優勝。14日からの夏場所で2場所ぶりの幕内復帰を決めたというのに、突然の引退会見。
ただ、驚きました。
理由は、持病の腰痛が悪化し、歩くことも寝ることも困難になったからだそうです。
体重200キロを超える巨漢。そこまで悪化しているならしょうがない、と思ったのですが、どうもそんな単純なものではないらしい。
この間、「弁護士を通じてしか話はしない」ほど悪化している親方との関係が、修復しようもないほどになってしまった、とか、深刻なアル中状態からどうしても脱出できない、などと指摘されています。
真相はわかりません。
モンゴル遊牧民の家庭に生まれた青年の登場は、強烈でした。
2014年の初土俵から5場所目に、新入幕で2大関、横綱をバタバタ倒していったのですから。
百年ぶりの新入幕力士の優勝か、と騒然。優勝こそ成らなかったものの、わずか2場所目で関脇へ。人気力士の貴乃花(のちの横綱)どころではありません。
日本語どころかモンゴル語さえきちんと話せなかったぼくとつな青年が、大きな体で懸命に相撲に打ち込む。このまま成長していけば、すごい力士になるぞと思ったものです。
その後は注目され過ぎてストレスを抱え、太り過ぎもあってけが、故障で足踏みしてきました。
昨年の名古屋場所で初優勝したときは〝ようやく怪物が目覚めたか〟と思いました。
しかし、9年という、決して長くはない相撲人生の末に選んだのは、相撲界からの離脱。
それを左右したのは、酒の飲み過ぎではなかったか。
アル中問題の取材に執念を燃やしているジャーナリストの友人が言っていたことですが、アル中にはまると、力士に限らずブレーキがきかなくなってくるそうです。
相撲人生に見切りをつけた原因はほかにもあるかもしれませんが、このアル中問題が大きかったのではないか。
いずれにしても、相撲界を背負っていける力を持ったような力士が、いきなり去ってしまった。残念としか言いようがありません。
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