先場所、2回目の優勝を遂げた玉鷲(たまわし)と、30歳で初の小結に昇進した翔猿(とびざる)の対戦。
立ち合い、翔猿がひょいともぐって、玉鷲を右下から攻める。反撃を考える暇も与えず、すばやい相撲で一気に寄りたてた。
初日は、大関正代を厳しく攻め、防戦に追われた大関の腰を浮かせて押し出した。
2日目の相撲巧者・明生戦では、土俵際に押し込まれた。物言いがついたものの、足がしっかり俵の上に残っていた。
これで3連勝。動きの良さが光る。
それにしても、初土俵から小結昇進まで46場所かかった。学生相撲出身者としては2位のスロー昇進だ。
土俵上ではなんでも繰り出す動きの一方で、得意の型がなかなか見えなかった。
本人も、部屋の先輩や同僚が活躍するなかで、焦りもあったという。派手な動きと笑顔の裏で、胸の内は穏やかでない時間を過ごしてきたようだ。
だが、人より多少時間がかかったとしても、自分と自身の相撲を見つめるうえで、決して無駄とは言えない時間だったのではないか。一気に駆け上がりながら、あっという間に下がっていく力士も少なくないのだ。
翔猿は、悔しい思いをしながらも、腐らなかった。押す力をつけなければと、ぶつかり稽古を増やすなど地味な努力を必死に続けてきた。
見ていると、前に出る力がつき、相撲に〝厚み〟も出てきたと感じる。
時間をかけた成果だったのではないか。
ようやくの昇進に少しほっとしたいところだが、本人は満足していない。
「(小結に上がった)喜びは終わった。後はさらに上をめざすだけ」という。
「猿から(もっと大きな)ゴリラパワーでやりたい」そうだ。
期待したい。
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