高安(たかやす=東前頭7枚目)が中日(なかび)の8日目で、ただ一人、勝ち越しを決めました。
対戦相手は若元春。関脇若隆景の兄。入幕2場所目ながら、じりじり力をつけています。
立ち合い、高安はさっと左腕をこじ入れ、右からおっつけ。持久戦になったものの慌てず、相手の動きをよく見て、最後は右からぐいっと上手投げで、若元春を裏返しました。
中日での勝ち越しは、5年前の春場所以来の快挙。これまで、期待を抱かせながら、その直後に大失速を繰り返しており、今回も楽観はできません。
ただ、今場所の相撲内容は安定しています。何よりも慌てない。これがいい。
大関を15場所務めました。けがで2019年九州場所に陥落したものの、元横綱白鵬が「現役力士で一番力があると思う」と評する実力を備えています。
大関時代、〝優勝経験のないただ一人の大関〟と毎場所言われ、本人も何とか優勝をと、必死でした。その目標はまだ実現していないものの、挑戦心はいまも胸のなかで燃えているはずです。
入門直後は、部屋の厳しい稽古に耐えられず、何度も部屋から脱走(父親は10回、本人は7回と、言っています)を繰り返した〝ダメ力士〟でした。
相撲部屋のある千葉県松戸市から、出身地の茨城県土浦市まで、6時間もかけてママチャリで逃げ帰りました。高安が早朝、浴衣姿でしょんぼりしていたという公園に行ったことがあります。
部屋では兄弟子の稀勢の里(のちの横綱)など兄弟子たちに期待もされず、稽古の相手もしてもらえなかったといいます。
その〝ダメ力士〟が数年後、横綱と並んで大関という相撲界の看板力士になったのです。
ドラマのような、実際の話です。
32歳。相撲界では引退も話題になる年齢ですが、もう一度、大目標に向かって挑戦してもらいたい。挫折やら経験が、決して無駄ではなかったことを証明してください。
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