13日から始まる春場所の番付を見ながら、少しわくわくしています。
新大関、新関脇、新小結など「新」がついた力士が幕内だけで5人いるのです。これだけの力士が新しい地位に昇進した場所は、この1年を振り返ってもありません。
コロナ禍の広がりで、少なくない力士が感染し、部屋ごと出場禁止に追い込まれたり、出げいこは中止、地方巡業がなくなるなど、制約ばかり。そのなかで、よくぞここまで頑張ったと思います。
新大関となった御嶽海はじめ、三役に昇進した力士に共通していることがあります。
15日間の、とりわけ終盤の5日間に全力をつくして勝ち星を積み上げてきたことです。
どの力士も、終盤は疲れがどっとたまり、心身ともにきつくなります。しかし今回三役に駆け上がった力士はいずれも、初場所終盤に、尋常でない闘志をかきたてて土俵に上がりました。
それが、新大関の御嶽海4勝1敗、新関脇の若隆景5連勝、同じく阿炎4勝1敗、新小結の豊昇龍が5連勝という好成績に結びついていったのです。
3連覇するだろうと見られていた横綱照ノ富士が、終盤の5日間に2勝3敗と崩れたのとは対照的です。
苦しい終盤で、どこまで頑張り、力を出しきるか。初場所の結果が改めて示しました。
注目される新大関の御嶽海は初場所後、コロナに感染し、まる10日間はまったく稽古ができなかったといいます。それでも体調は「バッチリ」と、なかなか強気です。照ノ富士や大関正代など多くの力士も感染しました。稽古不足という点では、さほど違いがないのかもしれません。
ただ、力士にとって稽古が仕事です。10日間も稽古ができなかったことが15日間にどんな影響をもたらすか。過去の例が示すように、場所前、稽古に十分打ち込めなかったときは、けがなどで多くの休場力士が出ています。
まだまだコロナ感染は収まっておらず、楽観できる状況にはありません。
加えて大阪は、医療体制の弱さから、感染率も死者数も全国で最も高く、多い地域です。
きびしい環境のなかで、力士たちがこれにどう向きあっていくのか、どんな相撲を見せてくれるのか。見守っていきます。