横綱照ノ富士(てるのふじ)の相撲は堂々たるものでした。
千秋楽まで優勝争いに残っていた妙義龍(みょうぎりゅう)が敗れたことで、取組前に優勝は決まっていたものの、力強い相撲で大関正代(しょうだい)を下しました。
鋭い踏み込みから左腕を差しこみ、右から抱えてグイッとひきつけ。正代の巻き替えも許さず、上から抱えこんで一気に寄り立てました。
9日目に大栄翔(だいえいしょう)、12日目に明生(めいせい)に敗れて黒星を喫したものの、連敗しませんでした。さらに相手が先に有利になっても慌てない。これが大きかった、と思います。
かつて、強引な攻めでけがを悪化させ、大関から陥落していった時とは全く違った内容で、進歩を感じました。
ただ、終盤の相撲が気になりました。
場所が進む中で疲れがたまり、痛めている膝が悲鳴を上げ始めていたのではないでしょうか。
多くの先輩が膝の故障に苦しんできました。
すぐにも横綱になるのではないかと思われていた把瑠都(ばると)、琴欧洲(ことおうしゅう=現鳴門親方)という元大関二人は、膝の故障が癒えず、横綱を目の前にしながら悔し涙を飲みました。
膝の故障は、引退するまでついてまわります。照ノ富士もそれは覚悟しているはずです。こうなれば、膝にできるだけ負担をかけない取り口を研究、追及していくしかありません。
それにしても、大関は、物足りなかったですねえ。正代の相撲はまるで気の抜けたビールを飲まされている気分でした。
大関はかつては大相撲界の最高位でした。今も横綱と並ぶ大相撲界の看板です。その大関が、勝ち越すのに精いっぱいというのは、ちょと情けなさすぎます。
来場所は、ぜひ力強い相撲でぜひ盛り上げてください。