西前頭6枚目の阿武咲(おうのしょう)と、大関貴景勝(たかけいしょう)の対戦。貴景勝が激しい相撲で阿武咲を土俵に這わせました。
ここまで2敗と好調の阿武咲。一方の貴景勝は、カド番ながら4連勝しており、その勢いが勝りました。
確かに両者は対戦成績、番付では違いはありますが、実際はそれほど差はないと思っています。
両者にはなにかと共通点があります。
ともに25歳と同学年。身長、体重にそれほど違いはなく、ずんぐりむっくりの筋肉質あんこ型。得意技は突き、押しと、これまた同じです。
加えて二人とも、あこがれて入門してきた当時の阿武松(おうのまつ)、貴乃花(たかのはな)の両師匠が、相次いで相撲界を去りました。相撲界では弟子にとって親方は親も同然と言われます。それが突然目の前からいなくなってしまったのです。
若い二人にとってはそれこそ天井がひっくり返るような〝事件〟だったかもしれません。直後の両者のけがや、激しい好不調の動きからも、その影響が伺えます。
あれから数年。稽古や相撲に専念できるようになったのかどうか。ようやく自分を取り戻しているようにも映ります。
阿武咲が以前、インタビューに「まわし一本で勝負できる相撲が好きです。追及に終わりがないけど、それが楽しい」と、話していました。
さらに「これからも相撲界の中心になっていけるよう(貴景勝と)二人で頑張っていきたい」とも。
二人ともまだまだ若い。激動の体験も成長の〝肥やし〟にして、その夢を結実させてほしいと思っています。