15日間は長いか短いか。多くの力士が「長い」と感じています。
相撲は一日一番。勝負はほとんどが1分以内。あっという間です。土俵入りがあるとはいえ、拘束時間は実に短い。
一日8時間、10時間以上も働いている人とは、比べようもありませんが、力士の集中と労働者のそれとはかなり違うようです。
毎日違う相手との対戦、勝手しったる相手ならまだしも、力が上の力士、突っ張りか四つ相撲か、どんな手で攻めてくるのか予想もできない相手。 勝ち越し、負け越しがかかる一番などは緊張しっぱなし。土俵に上がる前から頭の中は猛烈に働いています。
1分足らずの勝負のために、15日間休みなしで集中する。疲れるはずです。緊張が切れてもおかしくありません。
でも、集中力が途切れると、肝心の目標から遠ざかることにもなってしまいます。
これまで幕内で2回優勝という力を持ち、三役はもう定位置。誰もが実力派と認める御嶽海(みたけうみ)には、今場所も、千秋楽まで場所を盛り上げてという大きな期待が寄せられていました。
にもかかわらず、いい調子で行ってると期待した次の瞬間、対戦成績で上回っている逸ノ城(いちのじょう)にころりと負けたり(7日目)、9日目には若手霧馬山(きりばやま)の変化相撲を残せませんでした。集中力が途切れているように見えました。
5月場所には、〝御嶽海は理論派だが、頭で考える前にまず体が動いていなければ〟と書きました。
今場所は、一日一番の相撲に全神経集中を。それが大関、横綱へのカギになる、とつけ加えたい。