8日目、宇良(うら)と石浦(いしうら)の相撲に注目しました。
体重を増やして少しふっくらした宇良と、筋肉質の体づくりを進めている石浦。互いに激しい攻め合い。宇良が石浦を組みとめ、前に出ようとしたところに強烈な張り手。クラッとして反撃はなりませんでした。
これで4勝4敗。3年4か月ぶりに幕内に戻ってきたものの、勝ち越しも容易ではありません。
居ぞりなどアクロバット的な技で入門前から注目を集めてきました。力士らしからぬ(?)優しげな表情とも相まってたちまち人気力士となり、番付もぐんぐん上げます。しかし〝力士の職業病〟ともいわれるひざの故障で、幕内から無給の序二段106枚目まで番付を落としました。
相撲界の3年4カ月という時間は、一般社会よりも何倍も速いかもしれません。今活躍している豊昇龍(ほうしょうりゅう)は相撲界入りしたばかりだったし、新小結に昇進した若隆景(わかたかかげ)は新十両にもなっていませんでした。
思うように動かないひざを抱えて、後輩、若手力士が活躍し、駆け上がっていく様子を、宇良はどんな気持ちで見ていたでしょうか。
ひざの故障、特に半月板の損傷は、二度と回復しないけがです。元横綱貴乃花さえ、世界的権威といわれた医師の治療を求めて何度もフランスに渡ったものの、改善せず、結局引退に追い込まれました。
大関照ノ富士(てるのふじ)も、元大関栃ノ心(とちのしん)も、いまだ膝に分厚いテーピングを巻きつけて土俵に上がっています。
こうしたことを考えても、引退を考えるところまで追い込まれながら、再び土俵に戻ってきたのは、奇跡にさえ近い。それらの葛藤、努力が実ることを願っています。