稽古と相撲 | ハッキヨイ!よっちゃん相撲日記

ハッキヨイ!よっちゃん相撲日記

大相撲取材歴20うん年!よっちゃんです!

            

 よく稽古していると感じさせる力士がいます。豊昇龍(ほうしょうりゅう)=西前頭5枚目=もその一人です。6日目はモンゴルの先輩、千代翔馬(ちよしょうま)=西前頭7枚目=に挑み、敗れたものの、果敢に攻める積極的な内容でした。

 上手出し投げで転がされた瞬間、悔しさむき出し。しかし黒星は、自分の力が及ばなかっただけのこと。この敗北から学んで、次に生かしていいのです。 

 

 昨年秋場所に入幕してからの相撲を見ていると、めざましい成長を感じさせでます。土台にあるのは稽古です。

 

 

 部屋には今場所新小結に駆け上がった明生(めいせい)や十両の天空海(あくあ)などタイプの違う力士がおり、稽古相手に不足なし。昨年7月場所にはこの3人で十両の優勝争い巴戦を演じたのが象徴で、部屋での切磋琢磨が豊昇龍をガンガン刺激してきました。

 

 横綱を目指している照ノ富士(てるのふじ)が、三日目にきわどい勝負をものにした後「稽古場でやっていることしか、場所ではできない」と語ったそうです。普段から、稽古を存分にやっているかどうかが、力士の成長やら停滞、後退を左右する、それしかない。相撲界の頂点を目指そうとしている力士の言葉から真理というか、重みが伝わってきました。

 

 相撲界には〝本場所は稽古場のごとく、稽古場は本場所のごとく〟という言葉があります。 本場所はいわば試験本番の場みたいなものです。普段やってなければ本試験でも結果はだせない、というわけです。

 

 

 コロナ禍で稽古相手に恵まれない部屋もあります。しかし横綱白鵬も、元横綱鶴竜(かくりゅう)も、入門したときは関取もいない小さな部屋で、コツコツと工夫しながら稽古を積み、体をつくりあげ、強くなってきました。

 

 豊昇龍は稽古相手に恵まれています。悔しさをバネにさらに励んでいけばいい。まだ22歳。時間も、可能性もたっぷりあります。