白鵬関へ | ハッキヨイ!よっちゃん相撲日記

ハッキヨイ!よっちゃん相撲日記

大相撲取材歴20うん年!よっちゃんです!

           

  白鵬関へ

 

 老ジャーナリストから一言申し上げたい。久しぶりに本場所に出場したあなたの相撲についてです。

 休場明けでここまで連勝を重ねているのは、さすがです。ただ、相撲っぷりがよくない。立ち合いから張り手を繰り出して相手の出鼻をくじく取り口は、汚すぎます。

 

 

  相撲規則では張り手が禁止されていないことは承知しています。しかし、アマチュア相撲では危険として禁止しています。相撲協会は直ちに規則上でも禁止すべきだというのが、自分の考えですが、白鵬関は初日から張り手を連発。遠藤(えんどう)や大栄翔(だいえいしょう)など過去の対戦で敗れた相手や、これから伸びてきそうな相手にはとりわけ執拗です。

 

 

  相撲は相手がいて成り立つスポーツです。勝負で全力を尽くしても、土俵を降りたら一人ひとりが相撲界を支える仲間です。そこでは番付の違いを超えて相手に敬意があって当然です。しかしあなたの相撲からは、それが伝わってきません。こんなことを続けていたら怨念しか生まない。そう思うのは自分だけでしょうか。

 

 

  言うまでもなく横綱は相撲界の最高位です。その地位にふさわしい品格と抜群の力量が求められます。あなたは抜群の力量は備えてきたかもしれませんが、力士やファンから尊敬されるものは身につけてきたのでしょうか。

 

 モンゴルには、2500年という日本の相撲より長い歴史を持つ相撲(ブフ)があります。互いに組み合ってから始まる、強靭な足腰と体が求められる競技です。そこには相手を殴り、平手打ちする余地は全くありません。

 

 

  その台地に生まれ、はぐくまれてきたあなたが、なぜ異国の相撲では敗れた相手に執念深く野蛮な手を繰り出すのか。そこがどうしても理解できません。

 

 

 

  いま、ヨーロッパでは日本の相撲が注目され、ファンが増えていると聞きます。相撲が殴り合いのない格闘技だからだそうです。しかし、現実には最高位の横綱が、下位力士相手に鍛えようのない顔やあごめがけて殴りつけていることを、どう説明したらいいのでしょうか。

 

 

 

  あなたは、相撲界で数々の記録を塗り替えてきました。10年前に東日本大震災が起こった時、力士会の会長であった白鵬関が、支援活動の先頭に立ってきたことを、被災者、日本人は忘れません。

 

  

   だからといって勝つためには何をやってもいいということとは、別です。

 

 

   あなたより少しだけ長く、相撲界を見つめてきたジャーナリストのたわごとです。何かの機会にそのたわごとがあなたの目を触れる機会があることを願っています。