やっとかめだなも
この言葉を聞いたことがありますか。名古屋市やその周辺の方はご存知だと思いますが、「久しぶりだねえ」という名古屋弁です。
以前、仕事で3年ほど名古屋に赴任しましたが、繁華街のビルに「やっとかめだなも」と大書きされた看板を見て、「なんじゃ、これは?」と、びっくりしたことがあります。漢字では「八十日目だなも」と書くそうですが、地元の人に教えてもらうまではどういう意味なのか、まったく分かりませんでした。
前ぶりが長くなりました。久しぶりの名古屋場所が開催され、しかも横綱白鵬(はくほう)を迎えた現地の人にすれば「やっとかめだなも」という心境かもしれないですね。
その白鵬が遠藤(えんどう)と対戦しました。対戦成績では13勝2敗と圧倒しているものの、昨年初場所には土俵際、切り返しで裏返しにされた手ごわい相手です。この日も勝つには勝ったものの、小刻みな突きと、張り手まじりの攻めで何とかしのぎ、後ろまわしを取って出し投げを決めたものの、もたついた動きでした。
この一年、満足に土俵を務めることがなく、春場所は途中休場し、夏場所も全休。相撲勘を取り戻すのはまだ時間がかかりそうですが、懸命な取り口から「やっとかめだなも…」の期待に必死に応えようとする気持ちは伝わってきました。
ただ、白鵬もすでに36歳。数々の大記録を打ち立ててきた大横綱も、年齢による衰えを避けることはできません。
一方でこの横綱を越えようとする新たな力が育っているとは、まだ言えないのも現実。若手力士にはこの大きな壁を乗り越える責任がある。1年4か月ぶりの名古屋場所はそういう役割もあると思います。