御嶽海(みたけうみ=東小結)は何とも不思議な力士です。
幕内で2回も優勝する実力を見せたかと思えば、先場所は千秋楽にようやく勝ち越し。
今場所はどっちの顔を見せてくれるのか。予想がつきません。
NHKの相撲番組で解説を務める北の富士(きたのふじ=元横綱)さんは「彼は稽古が足りない」と、しょっちゅうぼやいています。
所属する出羽海(でわのうみ)部屋には御嶽海のほかに十両以上の関取がおらず、もっぱら近くの春日野部屋などで稽古を積んできました。しかし、そこでの稽古はもっぱら腹減らし程度。汗まみれになっている姿をほとんど見たことがありません。
稽古が好きじゃなかったという北の富士さんでさえ、現役の時は数十番はやっていたそうですから、確かに物足りないでしょうね。
「いまガンガン稽古して、3年後に強くなるぞと言われても、その頃に膝がボロボロで関取になれなかったらでは意味がない」。稽古に対する御嶽海の考えはこうです。
確かに、がむしゃらにやればいいというものではないかもしれません。ただ、懸命に稽古に打ち込む中で、まだ眠っていた力が引き出されてくることだってあるのではないか。そんな気もするのですが…。
5日目、関脇隆の勝(たかのしょう)を一気に押し出し。実力は間違いなく一ランク上です。