元大関、高安(たかやす=関脇)の初優勝が,毎場所話題になります。自分より番付下位の力士が初優勝で沸いているとき、大関まで昇進しながら、一人、優勝から見放されてきたからです。
先場所は絶好のチャンスでした。しかし、終盤に崩れて、またもや!優勝杯が手元からスルりと抜けていきました。
今場所は初日から3連勝。周囲も本人も「今度こそは」と並々ならぬものがあるはずです。
4日目は、2大関を破って勢いづく若隆景(わかたかかげ)と対戦。立ち合いで激しく当たっていったものの、左右からのおっつけで体を起こされて腰が伸び、連勝はなりませんでした。
高安がまだ幕内下位のころ、茨城県土浦市で、相撲の講演をさせていただいたことがあります。話は、横綱めざす同県出身の稀勢の里(きせのさと=元横綱)について準備していたのですが、会場の質問、意見は高安のことばかり。考えたら土浦市は彼の出身地でした。
その中で、近くの公園で早朝、鳴戸部屋(当時)から逃げ帰り、浴衣1枚でしょんぼりしている高安をよく見かけたと言う話を聞きました。それも一回、二回ではなかったそうです。
以来、高安の相撲が、稀勢の里以上に気になっていました。
日本人の父とフィリピン出身のお母さんに育てられてきましたが、人には言えない苦労もあったようです。
もう少し体を絞れば、動きはもっと良くなるはず…など注文もあります。が、けがも癒えて調子は上向きに見えます。念願の初優勝に向けて、1敗したぐらいであきらめるな、高安!