以前にも書いた覚えがありますが、図書館に行く日は雨が多いです。
自転車で5分。歩いて15分。
大した距離じゃないのは認めます。でも、休みの日に出かけること自体メンドウなのに、重い本持って傘差して寒空の下歩いていく……そして帰っていく。
雨、眺めているのは好きなんですけどね。
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・樺山三栄『ゴースト・オブ・ユートピア』('12早川書房)
・岩井志麻子『鉄道心中』('08双葉社)
・海堂尊『チーム・バチスタの栄光』('06宝島社)
・青木淳悟『私のいない高校』('11講談社)
・古川日出男『ドッグマザー』('12新潮社)
・樺山三栄『ゴースト・オブ・ユートピア』
――ディストピアSFの古典がいかにして誕生したかを著者オーウェルの生涯を辿ることで探る「一九八四年」、
あの奇想天外な風刺小説を異色の会話劇として再構築した「ガリヴァー旅行記」、
激動の20世紀陰謀史をQ&A形式で解体する「すばらしい新世界」ほか、
古今東西の文学作品10篇をモチーフに、21世紀という時代に本質を追究する試み。
『一九八四年』に始まり、『ガリヴァー旅行記』を経由して、『華氏四五一度』へ――
〈ぼく〉でもある〈きみ〉は21世紀のユートピアを追い求める
伊藤計劃、円城塔と同年デビューの異才が、Jコレクション初登場――
名作を下敷きにしたパロディ、といっていいのか、モチーフなのか原案なのか、そういう短編集です。
Jコレクションが好きで、伊藤計劃、円城塔と同年デビューというところに惹かれて。
『一九八四年』『愛の新世界』『ガリヴァ―旅行記』『小惑星物語』『無可有郷だより』までは、「きみ」が「どこにもない」ユートピアを巡る話。
『すばらしい新世界』『世界最終戦論』『収容所群島』『太陽の帝国』『華氏四五一度』は「ぼく」が「いま・ここ」を巡る話。
単なる小説だけではなくて、会話劇だったりQ&A形式だったり、章が細かく分かれていたり嘘注釈が付いていたり序文だったり、と表現方法も様々な10編でした。
内容は、よくわからないというのが正直なところです。元になった原作をほとんど知らないからかもしれません。
いまここで何について書いているのかはわかるけれど、それがどういう繋がりなのかよくわからない、が多かった。
特に後半5編は評論に近いものや思想的な話が多いせいもあるだろうけど。
でも好きなんですねぇ、訳のわからなさがまた。SF好きというよりはSFの理解出来なさが好きなのかもしれないです。でも面白いかと言われると個人的には微妙です。
比較的わかりやすく物語性のある話は過度なグロ描写があるので、大人向けの本です。頭のいい大人向け。
・岩井志麻子『鉄道心中』
――大正半ば、帝國大学教授の令嬢であり、社長夫人の井内露子が、運転手、酒井大紀と鐵道心中を図った。露子は重傷、大紀は現場から遁走する。事件に基づいた流行歌が生まれるなど、好奇の視線に晒されながら、露子は怪しきカフェーの女給となり――。歌うように流れる美しき文体で描く、大正ロマンに彩られた愛欲と妖気の世界。――
大正時代の話が読みたくなったので、恩田陸の『ねじの回転』と迷ってこちらをチョイス。
岩井志麻子は『ぼっけえ、きょうてえ』しか読んだことがなかった、と思う。
丁寧な口調の語り手は誰なんだろうとずっと気になっていましたが、そこは単なる地の文でした。それ以外は伏線の回収も綺麗にされている(むしろ語り過ぎなくらい)。
露子の妖しさ危うさ、記者の直吉の可愛さ余って憎さ百倍な執着、醜聞に巻き込まれた醜女ヤスの意地、事件の真相、合間に挟まれる異国の幻影、それが大正ロマンに味付けされて供されます。
エンターテイメントとして充分楽しめました。
ただ視点、語り手が目まぐるしく変わるうえに、章の区切りが必ずしも語り手の変更にはならなかったり、同じ文章が繰り返される点は好みが分かれるかもしれません。少し、読みづらいと感じました。
あと強気で辣腕とされる直吉のそこの部分が全く作中で出てこなかったのが心残り。
・海堂尊『チーム・バチスタの栄光』
――東城大学医学部付属病院では、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門チーム「チーム・バチスタ」を作り、次々に成功を収めていた。ところが今、三例続けて術中死が発生している。しかも次は、海外からのゲリラ少年兵士が患者ということもあり、マスコミの注目を集めている。そこで内部調査の役目を押し付けられたのが、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口と、厚生労働省の変人役人・白鳥だった……。
(バチスタ手術とは)
バチスタ手術は、学術的な正式名称を「左心室縮小形成術」という。一般的には、正式名称より創始者R・バチスタ博士の名を冠した俗称の方が通りがよい。拡張型心筋症に対する手術術式である。肥大した心臓を切り取り小さく作り直すという、単純な発想による大胆な手術。(本書より)――
「このミステリーがすごい!」大賞作品縛りで。著者は現役の医師だそうです。
立て続けに起こる術中死の謎を追い、万年講師の田口がしぶしぶ動くという構成。病院に講師ってよくわかりませんが、要は出世争いからドロップアウトしたやる気のない医師が主人公。
といっても、田口の一人称で進むのでそれほどやる気がない感じは出ていません。
途中から出てくる厚生省の役人・白鳥が個性強すぎて。聞き取り調査でわざと相手を怒らせて反応を引き出す、というのはわかるのですが、殴られるのはさすがに傷害になるのでは……。
前半はミステリー、後半はエンターテイメント、ですかね。
この作品って映像化されてましたっけ。確かに描写が映像化しやすそうだなーという書き方でした。
・青木淳悟『私のいない高校』
――『これまで読んだ中で、もっとも不可解な小説』――豊崎由美氏
カナダからの留学生(でも英語が苦手)を受け入れた、とある高校での数ヵ月――。描かれるのは至ってフツウの学園生活のはずなのに、何かが、ヘン……。
“物語”の概念を覆す、本邦初「主人公のいない」青春小説!
わかるのに、わからない。わからないのに、愉しくてたまらない。愉しくてたまらないのに、説明できない。説明できないのに、おすすめしたい。
これまで読んだ中で、もっとも不可解な小説に驚愕&驚喜。「私」のいないヘンテコな小説を書いた青木淳悟は、私の大事な作家になりました。――豊崎由美氏(書評家)――
主人公のいない小説とはなんぞや? と惹かれて。
そうですねぇ、うーん、まあ、そうなるよなあ、という印象でした。
一応担任の視点なのかな? と思えるのですが、しかしなんにも起こらない話です。
カナダから英語の苦手なブラジル系の留学生がやって来て、まあ上手くやっているようだなと。でもそういった場面の描写はなく、楽しいことや劇的なことは常に物語の裏側で起きているようです。それは読者には伝えられない。いくらでも面白い事件が起きそうなのに。
この徹底的な疎外感が「私がいない」ことなのかもしれないですね。つねに蚊帳の外で、物語に全く介入できず、ただ外から眺めて終わる。
文末に『アンネの日記 海外留学生受け入れ日誌』から着想を得た、のようなことが書いてあったのに妙に納得しました。アンネの日記かあ……確かにオチはないですもんね。
ありきたりなエンターテイメントに飽きた方にはいいかもしれません。
それから、学校行事に関わる些細な描写が丁寧で、学生時代が懐かしくなりました。
・古川日出男『ドッグマザー』
――僕はここ京都で聖家族を作る。大震災後のひびが入った世界で。謎めいた「教団」の闇の中で。青年は愛する老犬博文を道連れに長い旅に出る。養父メージの骨の入った壺を背負って。京都へ。その地下世界へ。前世を売る謎の「教団」の女教祖と姉弟たち。第一部「冬」、第二部「疾風怒濤」、第三部「二度めの夏に至る」――ポスト3・11の新たな想像力が爆発し、その向こう側の物語へと読者を誘う圧倒的小説世界!――
何かの続編ですか? 途中からよくわからなかった。
今回理解出来ない作品が多いなあ。
主人公の青年が、養父を弔うために京都にやってくる。老犬の(伊藤)博文を連れて。
ここまではわかる。犬可愛い。
青年は京都で暮らし始める。理由はわからない。家がない? でもママはいる。でも本当の母ではない……訳ありの青年です。
かなりの美青年らしく、女性の手を借りながら表向きは鉄板焼き屋で働きながらアングラな商売も始める青年。
そのうちモデルになり、男娼になり、宗教団体の、なんだろう、愛人? になり、なにか起こりそうな感じで終わり。
第二部掲載後に3・11の大震災が起こった影響で、第三部の方向性がかなり変わったように思えました。というか実際一部二部と三部は話的に繋がっていない。
古川日出男の文体が好きで、文章だけど音楽的なイメージが想起されるんですよね。
でも今回の話はよくわからなかったです。過激な性描写も多いし、こちらも大人向けの本でした。
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しかし雨といっても悪いことばかりではないですよ。
傘をさして歩いてみて初めてわかることもあります。
いつの間にか吐く息が白いこと。
水溜りを跳ね散らかす車もいれば、徐行してくれる車もいること。
カッパを着た人と傘も持たない人の速度の違い。
竹林に落ちる雨の音の響きが懐かしいこと。
そして濡れて初めてわかる靴に穴が開いていたこと。
やはり雨は眺めているに限りますね!
では、また。
さようなら。
『ビタミン カロチン カリウム ファイバー… ポリフェノォ~~ル!!』