よく店で買い物をすると、ポイントカードお持ちですか? お作りいかがですか? と訊かれますよね。
毎回毎回訊くわけですよ。決まりですから仕方ないのですけど、やっぱり客としてはうざったい訳です。
それなので、食い気味に「いいえ」連呼。最後まで言わせません。まるで、ゲームのセリフを連打で飛ばしているようです。
いや、これをされると自分が村人その1になったようで奇妙な感覚を味わえるのですが、正直、感じは悪いですよ。無意識でしている方は一度意識してみるとよいかもしれません。
〇
〇
〇
・加納朋子『はるひのの、はる』(’13幻冬舎)
・畠中恵『ときぐすり』(’13文藝春愁)
・宮部みゆき『泣き童子(わらし)三島屋変調百物語参之続』(’13文藝春愁)
・道尾秀介『カラスの親指』(’08講談社)
・前川麻子『パレット』(’05光文社)
・加納朋子『はるひのの、はる』
――ある日、僕の前に「はるひ」という女の子が現れる。「未来を変えるために、助けてほしい」と頼まれた僕は、それから度々彼女の不思議なお願いを聞くことになり…。時を越えて明かされる、温かな真実。切なくも優しい連作ミステリー。――
『ささらさや』、『てるてるあした』に次ぐ、ささら三部作の完結編です。でも前二作は読んだのがだいぶ以前なので細かいことは忘れてしまいました。
佐々良という架空の町を舞台にしたシリーズで、確か『ささらさや』は奥さんと小さなこどもを遺して死んでしまった男性が、幽霊となって時には誰かに取り憑いて奥さんを守る、みたいなほのぼのとした話だったと思います。
『てるてるあした』は女子高生が一人で生きていくことになって商店街のみんなに助けられながら成長していく、ような話だったかと。
珍しくドラマを観て読み始めたシリーズでした。それは憶えている。
今作はそうですね、完結編というか前作との繋がりはほとんどありませんし、独立した作品として読めます。ほのぼの感動幽霊連作短編。
主人公は『ささらさや』で赤ん坊だったユウスケです。ユウスケは幽霊が見えます。話せるし触れる。「はるひの」という名前の原っぱには幽霊が乗るバス停があって、そこでユウスケは「はるひ」という女の子に出会ってお願い事をされます。
彼がはるひのお願い事を叶える度に何かが変わって行きます。その何かは最初はわかりません。基本的にはユウスケの視点ではなく、短編ごとに主人公を変えて話は進みます。元漫画家の話とか、鷹を飼っている女の子の話、ミヤという女性の話など。
一見関係のないそれらの話の中でユウスケが成長していっているのがわかり、ユウスケが高校生になってからが本番という印象。
タイムトラベルものではありますが、SFっぽくはないです。ファンタジー寄り。元漫画家の話が一番好きでした。
いい話です。とても上手くまとまっているし、伏線もきちんと回収されているし、読後感が爽やかです。
ただ毒がないかと言えば必ずしもそうではなく、個人的に意外とエグいと感じる個所もありました。
『コッペリア』好きだったなあ。
・畠中恵『ときぐすり』
――やんちゃ二人に堅物ひとり。麻之助・清十郎・吉五郎が江戸は神田で活躍する。傷心のなか、町名主名代のお役目はどうにか務めている麻之助。揉めごと諍い悩みの相談、いつもの裁定の仕事をするうちに、過ぎた時間がいつしか薬となってゆく…。新展開の『まんまこと』ワールド、感動の第四弾!――
こちらも連作短編で、ひとつひとつ騒動を解決しながら、ゆっくり立ち直って行く麻之助がもの哀しいというか。表立って嘆くわけじゃなく、静かに一人で喪失感を抱えているのが危なっかしく見えます。
この作者さんのことなので無体なことはしないとは思ったけれど、元盗賊の飯炊きの少年が普通にいい子で戸惑った。いい子じゃん。
最初はこのシリーズあんまり好きじゃなかったけれど、だんだん面白くなってきた。これからに期待期待。
・宮部みゆき『泣き童子(わらし)三島屋変調百物語参之続』
――江戸は神田。叔父が営む袋物屋・三島屋へ行儀見習いとして身を寄せるおちかは、叔父の提案で百物語を聞き集めるが――。恋仲の男女の縁を切ってしまう池の伝説(「魂取の池」)、ある朝、母親の顔を見て泣き出した赤ん坊の物語(「泣き童子」)など、6篇を収録。人気時代小説、待望の第3巻。――
第三巻……確かにこのシリーズ読んだ覚えはあるのだけれど、おちかちゃんの過去が思い出せない。何があったのだっけ。蔵に閉じ込められて不思議な目に遭ったのはこのシリーズだったかなあ。
やっぱり宮部みゆきは時代物が好きですね。一番しっくりくる。あ、でも『火車』は好きだ。
今作は一応百物語なわけですが、完結までに何巻出るんだろう。16、7巻? 完結するのかな。
この中の『まぐる笛』が、『荒神』に似てる話でした。山に巣食う怪物の話。なかなかにグロテスク。
怖い、という話ではないけれど、ところどころぞっとするような話が多い印象。民間に伝わる呪いの類の話は怖いですね。
ところで、博打眼でしたっけ、なんか目玉の無数に付いた布団みたいなものを退治する話。あれが宮部みゆきで一番怖かった気がします。
・道尾秀介『カラスの親指』
――大丈夫。まだ間に合うから。
注目の道尾秀介 最新作!
「こうしてると、まるで家族みたいですよね」
“詐欺”を生業としている、したたかな中年2人組。ある日突然、彼らの生活に1人の少女が舞い込んだ。戸惑う2人。やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは!?――
映画でやっているのをちらっとだけ観たことありましたが、その時はこれが本作だとは知らず。読んでいくうちに、あれ、あの映画に似てる、と思い至りました。阿部寛だったような? あれがタケさんか?
感想は、うーん。ラスト前までは面白かったですが、オチが釈然としなかった印象。徒労感を感じてしまいました。
前を向いて、立ち直る為には必要なことだったんだろうけれど。まだるっこしいわい。
いい意味でも悪い意味でもエンターテイメント作品です。
・前川麻子『パレット』
――大人じゃないから分かることも、いっぱいある。それぞれの事情を抱える、今どきの優等生でも劣等生でもない少女たちの姿を描く。――
二人の渋谷生まれの中学生の女の子の話。何か大事件が起こるわけではないのに、なんとなく印象深い作品。今回のナンバーワンかなあ。純文学? 思想的な話です。作者の哲学かな。
人形のように綺麗な女の子、尚美と絵麻。幼馴染の二人の日常が描かれる。語り手の尚美は中学生だけど、かなり年上(30歳くらい? 明示されていない)の彼氏がいる。絵麻はかなり聡明で醒めた性格。
軸は尚美と彼氏の亘の、条例が絡んだ恋愛です。愛があれば歳の差なんて! というテイストで進んでいって、唐突に亘を振る尚美はどういうことなんでしょう、よくわかりません。よくわかりませんが、尚美の名前は『痴人の愛』から取ったのかなーとちょっと。
実はこの本は図書館のリサイクル図書でもらってきまして。まだ綺麗な本なのになんでだろうと思っていたら、内容があれですね、未成年が性交し、尚且つそれを受け入れているのが条例に引っ掛かるってことでしょうね。
でも、別にそれを礼賛しているというよりは、絵麻の彼氏である伊原(同級生)が「健全」を掲げることによって、恋人とは何か、を提議しているように感じました。絵麻の言うように、恋人になりたいという想いは恋じゃなく独占欲なんじゃないか、とか。
どこが面白いわけじゃないけれど、なるほど、という感じの作品です。
〇
〇
〇
ではまた。
さようなら。
『……おや!? ピカチュウの ようすが……!』
BBBBBBBB