ウヰスキー中毒 | 読書日記

読書日記

神郡が読んだ本の感想や、諸雑記を書いていくブログ。
知り合いには見せられないなあ。

この頃はことあるごとによく「ウヰスキー」と呟いています。
いえ、禁断症状という訳ではなく、笑顔を形作る為です。
一日呟いていたら、本当にふらふらきてしまいました。
ぽんぽこ仮面の苦労がしのばれます。


という訳で、森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』です。
待ちに待った新刊! これでテンションが上がらない訳がないッ!!
わくわくしながらお面も手に入れしましたよ。
新聞連載も全部読みたかったけれど…まあよいです。我慢します。

舞台が京都に帰ってきました。
惜しむらくは宵山を見たことがないので祇園囃子や鉾が想像に頼るしかないことですね。
それでも! やはり森見登美彦節は健在でした。ユニークなオノマトペ、人を喰ったような言い回しや詭弁、憎めない登場人物…。
他の作品ともちらっと繋がりがあってファンとしては嬉しい限りです。

ストーリーですが、宵山の一日に起こる出来事を、主人公の小和田君を始めとした複数の人物の視点で追う形になっています。
いや、これはストーリーじゃないですね。

ある早朝小和田君が目を覚ますと、何故か小学校の校庭で椅子にぐるぐる巻きにされていた。
目の前には狸のお面をかぶり、旧制高校のマントを着た謎の人物。
この人こそ今京都で話題の正義の味方〈ぽんぽこ仮面〉である。
ぽんぽこ仮面は言う「私の跡を継げ」
しかし小和田君は「何もしない、動かない」をモットーとする男。素直にうんと言うはずがない。ましてや今日は土曜日で、明日は日曜日である。
そこへぽんぽこ仮面を追う探偵の登場や、全力で休日を満喫しようとする職場の先輩の恩田さんとその彼女の桃木さん、他にもアルカパに似た男や胡散臭い陰謀等が入り混じり始め…。
果たして小和田君は冒険に出てしまうことになるのか!?

というような話です。

小和田君の泰然自若っぷりは怠け者というよりか悟りの境地に入ってますね。羨ましい性格だ。
ボロボロになりながらも、怠惰と戦い努力を続けるぽんぽこ仮面に休養を諭すシーンで、今までの受け身の立場から逆転して優位に立つ小和田君は悪魔的ですらあります。

そしてぽんぽこ仮面です。通報されまくった下積み時代から、正義の味方として頼りにされるに至る今日までたゆまぬ努力を続けてきた彼が、疲れ切っているのに仮面の下で「ウヰスキー」と呟いて笑顔を作り手をさしのべる彼が、初めて怠惰に負ける場面。
間違いなく今作で一番面白い場面です。
健気で可哀想で、そして笑えました。

後半はファンタジー要素が強い展開で、『宵山万華鏡』に近い印象を受けました。

『有頂天家族』も続編がでるみたいですし、他にも新刊がでるらしいので今からとても楽しみです。
それまでに一度は京都に行きたいものですね。


という感じでしれっと戻ってきました。
4月に急に環境が変わり、本を読む暇もなく約2ヵ月。
その間読んだ本といえば星新一を何冊かと、ヒルトン『失われた地平線』くらいのもの。
村上春樹の話もしたかったのですが、逸してしまいました。

その話はまあ、またいつか。
それでは。
さようなら。


『傷ついとるなあ~
 人として~』