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「ねえ、ジャックだっけ・・・?」
Qに初めて名で呼ばれた。 と言ってもゲーム上の偽名だが。

「どうした?」
「他の人どこに行ったと思う?」
「森のほうだろ?」
他の人とは最初に別れた魔法使いおじさんと野球一色の男 『野球人』 である。

「森のほうに行ったなら・・・ 私たちと同じ人数の敵と戦っているとして、そろそろ私たちと同じ元の場所に戻ってくるものじゃないかなと。」

Qの言うとおりだ。 俺たちは爆弾野郎を倒した後、最初のスタート場所に戻ってきていた。

「あー。 なんとしてでも勝たなきゃならねえな・・・ 」
「それは私も。 ライフ減らしたくないし。」
「ライフが減るくらいどうってことないだろ。 課金アイテム使って調節できるし。 まっ、俺はそうもならない状況だけど。」
「私もそういう状況・・・どうして課金できないの?」
Qはぐいぐい聞いてくる。 俺は仕方なく答えていく。

「俺のせいで、俺の家は家庭崩壊したんだよ。」
「・・・ごめん、ヘンなこと聞いちゃった。」

「いや、まあ俺のせいだし。 俺のせいで家族が大変な思いしてるから、もう俺は課金しないし、このゲームも金稼ぎだけに専念する。」
「私も言わせちゃったから言うけど、私も課金できる状況じゃないんだよ。 だからあなたと同じように金稼ぎでココ来てる。」
「そうか・・・」
「ジャック、何気に強いよ。 ここ慣れてるの?」
「そんなことはない。 何しろ初心者のころに一度来てぼろ負けして以来来てなかった。」

―俺は一昔前に初めて攻防モードを行った。 そしてスタート早々、ライフルのレーザーポインターを敵に当てられていた。
そして開始数秒で頭を撃たれ、倒された。 それ以来、俺はやつに勝ちたいと課金をしまくり、競技場モードで鍛えていたのだ。

「やっぱり負けるのを重ねないと強くなれないよね・・・」
彼女の表情にどこか重さを感じながらも、俺たちはその場で仲間を待つ。 ところが

「生き残り発見! 撃て!!」
一人の男の声と共にかつてのレーザーポインターが俺の頭部に当てられる。 一瞬だけ動きが硬直したそのとき、地中からドリルが二本。

「!!!?」
Qの胴体を貫くドリル。 俺はすぐさま地中から現れた男に膝蹴りを喰らわせる。 そのまま小刀を脊髄に刺す。
意識のほとんど無いQを寝込ませ、俺はレーザーポインターが当てられる方角をじっと見つめる。 目線の先に立つ男。
その一人の男こそ・・・俺が初めての攻防ゲームでぼろ負けしたスナイパーの男だった。 続く