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ま、今日も気ままにいきましょ。

本、映画、ライブ、食べ物などの感想を徒然に書いていきます。

土屋うさぎの作品。

 

2025年に宝島社から刊行。

 

第23回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作である。

 

新聞の書評で紹介されているのを見て知った。

 

作者は漫画家、本作が小説家デビュー作となる。

 

本作の主人公も、漫画家を目指す大学生の女性だ。

 

大阪・豊中市の「ノスティモ」というパン屋でアルバイトをしている。

 

5つの短編が入っていて、タイトルにはどれも、パンの名前がついている。

 

カレーパンの話が、私は印象的だった。

 

主人公が、お客の思い出のカレーパンを求めて、「ノスティモ」の人と他のパン屋を訪ねる。

 

全体的に読みやすく、パン好きな人には「そうなんだ」という知識も得られていい。

 

ただ、謎解きがそれほどないので、ミステリーではないと思った。

 

『このミステリーがすごい!』の選評が巻末についている。

 

沢野ひとしの作品。

 

2025年に文藝春秋から刊行。

 

沢野は1944年、終戦前年の生まれ。

 

平和の尊さについて、「はじめに」で書いている。

 

幼い頃から、中学、高校、大学の話。

 

兄とのことを特に書いている。

 

沢野は出版社に就職し、結婚して子どもが生まれる。

 

途中、朝鮮戦争や東京オリンピックのことにも触れ、戦後の歴史とともに沢野はいたのだとわかる。

 

東京の街の様子もつぶさに書かれ、「へえ、そうだったのか」と思う。

 

ページ下部には、沢野のお馴染みのイラストが多数出ていて楽しい。

 

家とは別で仕事場を借りていたことや、妻がいったん教師を辞め、養護学校の先生になった話が印象的だった。

 

第二部は満州の話なので、中国に興味がある人は、地名や名物がたくさん出てきて面白いはず。

 

表紙から裏表紙にかけて「1945」と黄色く描かれた装丁も斬新だった。

 

 

 

 

 

多島斗志之の作品。

 

1995年に双葉社から刊行。

 

「小説推理」に連載していた。

 

本作は『海上タクシー<ガル3号>備忘録』と同じシリーズで、長編小説である。

 

『海上タクシー』のあとがきに本作のことが出ていて、「これは未読だな」と思い、読んだ。

 

主な登場人物(主人公の寺田、助手の弓)は同じで、<ガル3号>も変わらない。

 

長編なので読みごたえがあり、地元の人の方言が激しいので、会話文に慣れるのに時間はかかる。

 

寺田は標準語なので、それに合わせて読むと、それほど苦にはならない。

 

助手の弓も、『海上タクシー』の時と同様、活躍する。

 

新たな登場人物として、寺田の息子・直也がいる。

 

7年ぶりに寺田と再会し、<ガル3号>にも乗る。

 

母に黙って家を出てきた理由は、最後に明かされる。

 

30年前の作品だが、今読んでもスリリングな面白さがあり、多島らしい筆致だと思った。

 

瀬戸内海の島のこともよくわかる作品。