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ま、今日も気ままにいきましょ。

本、映画、ライブ、食べ物などの感想を徒然に書いていきます。

畑野智美の作品。

 

2017年に光文社から刊行。

 

「小説宝石」に、2014年から2015年にかけて連載していた。

 

連作短編集である。

 

「連作で何か読みたい」と思っていた時に、畑野作品で見つけたのが本作だった。

 

舞台は、地方のシネコン。

 

そこで働くアルバイト、社員を巡る話が7つ入っている。

 

いずれも、クリスマスイブの日のことが描かれる。

 

読んでみて、「シネコンで働くのってこんなに大変なんだ」と思った。

 

多くはないスタッフで、チケット・飲食物・グッズの販売をこなす。

 

上映が終わったら清掃を短時間で行い、次の開場へつなぐ。

 

時期によってはお客さんが少なくて閑散とするが、クリスマスイブはとにかく混む。

 

読んでいて、私もシネコンにいるかのようだった。

 

働く人たちの人間関係や、過去の事件も興味深く描かれる。

 

短編を連作で読ませるのは、畑野作品らしい。

 

最後はほっこり終わるので、読んでいて「よかったね」と思えた。

髙橋秀実の作品。

 

2024年に集英社インターナショナルから刊行。

 

校正の話である。

 

新聞の書評に出ていて、読んだ。

 

校正とは何なのか。

 

校正を長く仕事としている人に聞き、迫っていく。

 

「漢字があるから校正も必要」というのは発見で、「相」の部首が「めへん」で、「問」は「くち」、「聞」は「みみ」というのも初めて知った。

 

新潮社で長く校閲をし、漢字辞典の出版にも携わった人の、幼少の頃の話が面白かった。

 

こういう人が校正に関わっていくのだなと、納得した。

 

もう少し、校正者の生活を知りたかった。

 

校正するにあたり、1日をどのように過ごすのか、どんな文房具を使うのかなど。

 

最後は、人体のDNAの話になる。

 

これは、髙橋の妻が病気になったことと関係しているという。

 

髙橋自身、昨年亡くなった。

 

私がその名前を知ったのは、村上春樹の『アンダーグラウンド』でだった。

 

もう、いなくて本を読むこともないのだと思うと寂しい。

 

本作が、おそらく遺作になる。

 

冥福を祈る。

汐見夏衛の作品。

 

2020年にスターツ出版から刊行。

 

文庫版で読んだ。

 

「中高生におすすめ」と出ていたので、「若者の話を読んでみよう」と選んだ。

 

主人公は、高校生の女子・茜。

 

「大嫌い」と思っていた同級生の男子・青磁と、いつしか距離が縮まり、「好き」になっていく。

 

青磁は絵を描くのが好きで、空ばかり描く。

 

茜は自分の本音を吐き出せず、いつもマスクをしている。

 

「マスク依存症」と思っている。

 

コロナより前に書かれたという本作で、マスクは重要なアイテムになっている。

 

会話文が多く、読みやすい文章。

 

展開が気になり、どんどん読める。

 

青磁が抱えている秘密も、最後に明らかになる。

 

作者は、高校の国語教師をしていたという。

 

だからか、作品全体に「生徒への眼差し」を感じる。

 

読書で青春を感じたい人におすすめ。