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ま、今日も気ままにいきましょ。

本、映画、ライブ、食べ物などの感想を徒然に書いていきます。

伊吹有喜の作品。

 

2020年に文藝春秋から刊行。

 

本屋の棚で目につくところにあり、気になって読んだ。

 

主人公は、東京の学校でのいじめが原因で不登校になった美緒。

 

ある日、岩手で羊毛の工房を持つ父方の祖父のところへ、一人で行く。

 

人から何か言われると黙り込んでしまう癖のある美緒は、祖父の工房で「紡ぐ」仕事に魅せられ、今後の道を考えていく。

 

そんな美緒を心配する両親、母方の祖母、工房に関わる人々。

 

「紡ぐ」というのがふわっとしたイメージなので話も同じように進むかと思いきや、そうでもない。

 

離婚、病気、死といった現実的な出来事が、後半特に出てくる。

 

最後は、自分の道を決めた美緒の描写で終わる。

 

会話文が多く、岩手の景色や工房での様子も目に浮かび、読みやすい。

 

赤いショールをかぶった女の子と、羊が並んだ装丁も印象的。

森百合子のエッセイ。

 

2024年に大和書房から刊行。

 

著者は、北欧を旅して19年になる。

 

これまでの旅を振り返り、北欧の魅力を伝えている。

 

建築、食、森、島などジャンルに分けて話し言葉で書かれるので、「こんな感じなのだな」と想像できる。

 

他の北欧本でも見た建築家や食べ物の名前が出てくると、「ここでも取り上げているということは、きっと日本人の心をつかむ存在なのだろう」と思う。

 

本全体の短所として、著者本人がどういう経歴なのかわからない。

 

親近感を得るには、もう少しそのあたりを書いてもいいか。

 

1人の日本人の北欧旅行記、として読むのには気軽で良い。

 

文庫書き下ろし。

山本文緒の作品。

 

1998年に角川書店から刊行。

 

ある中年女性と、「先生」と呼ばれる男性、男性をめぐる何人かの女性の話。

 

タイトルを見て「恋愛にどっぷりはまって抜け出せない」ような内容かと思ったが、じわじわと来る展開だった。

 

終盤までは、女性と「先生」の関係性を淡々と描くが、最後になって、女性の過去が明かされる。

 

「え、そうだったのか」とびっくりしながら、「それでこの出来事は、こういう結末になるんだ」と納得する。

 

ラストは最初の話とつながり、山本作品らしい。

 

手にしたのが九版なので、当時きっと売れたのだろうな、と想像しながら読んだ。

 

周りの人と自分の関係を、ふっと振り返りたくなるような本。