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ま、今日も気ままにいきましょ。

本、映画、ライブ、食べ物などの感想を徒然に書いていきます。

朝比奈あすかの作品。

 

2022年、双葉社から刊行。

 

「小説推理」に連載していた。

 

久しぶりに、朝比奈作品を読んだ。

 

本作を手にしたきっかけは特にないが、10代の子どもの琴線に触れたいと思って選んだ。

 

主人公は、児童養護施設で暮らす高校生のななみ。

 

学校では仲のいい友達が何人かいて、付き合っている男子もいる。

 

施設で暮らしていることを引け目に感じていて、周りにはなかなか言い出せない。

 

同じ施設で暮らす子どものこともたくさん出てくる。

 

接したことのない世界だから想像になってしまうけれど、この作品に出てくるような、心身不安定な子どもが、施設だと多いのだろうか。

 

ななみも色々な思いを抱えながら(これは思春期だから、というのもある)、自らの進路を決めていく。

 

物語の最後は、大学生になったななみが出てくる。

 

もう少し先、たとえばグループホーム(施設を出た後に入った住居)での生活が慣れた頃のことや、サークル活動はどうしたのか。

 

そういうところまで読みたいと思った。

 

登場人物では、「川上さん」が大人として子どもに向き合っているのがよかった。

 

ななみと話をする場面は、どれも印象的。

 

巻末に取材への謝意と参考文献が多数出ているので、施設の子どもをフィクションで知りたい人におすすめ。

沢野ひとしの作品。

 

2024年に集英社から刊行。

 

「ジジイ」シリーズの第3弾。

 

今回は、文房具についてあれこれ書いている。

 

万年筆、シャープペン、鉛筆削り、分度器など、沢野自身の思い出とともに、文房具がどのような存在か綴られる。

 

途中、電子辞書について熱く語る箇所がある。

 

「電子辞書は文房具なのか?」と思ったが、沢野にとって、なくてはならないアイテム。

 

沢野の文章は、電子辞書があってこそ生まれるのだと今回知った。

 

パリや中国に行って、文房具を買った時のエピソードも出てくる。

 

「ここでも買うのか文房具」と突っ込みたくなるが、それだけ文房具が好きで、買いたくなるのだろう。

 

「なんでも触ってみる」という信念を、本全体にまぶしているような感じもする。

 

ページの下の段に出ている小さめのイラストカットは、「本の雑誌」でもお馴染み、「見ていたくなる」沢野流の絵だ。

 

妻、子ども、孫の話もたまに出てきて、孫の成長を特に感じる。

 

次の「ジジイ」シリーズも楽しみだ。

畑野智美の作品。

 

2024年に光文社から刊行。

 

小説宝石に連載していた「僕とあなたの恋」を改題した。

 

畑野作品はこれまで何作も読んできたが、本作はLGBTQを強く意識した作品だ。

 

主人公・鳴海はカフェでバイトをしているが、恋愛感情や性欲がない。

 

彼女がいたことも、誰かを好きになったこともない。

 

人と話す時にも、「それを言うとセクハラ」とガードするような言葉を最初に言う。

 

鳴海は自分でカフェをいつか持ちたいと思っていて、ラストではその夢を叶える。

 

前半は、LGBTQの人のことや心情が多くてしつこく感じたけれど、後半は純粋に「人対人」の話になって、読み込んでいけた。

 

今ある世界が、すべてではない。

 

読み終わると、タイトルのような気持ちになる。

 

改題してよかったパターンだと思った。

 

LGBTQに関係なく様々な世代、立場の人が出てくるので、登場人物誰かに共感できるような作品。