朝比奈あすかの作品。
2022年、双葉社から刊行。
「小説推理」に連載していた。
久しぶりに、朝比奈作品を読んだ。
本作を手にしたきっかけは特にないが、10代の子どもの琴線に触れたいと思って選んだ。
主人公は、児童養護施設で暮らす高校生のななみ。
学校では仲のいい友達が何人かいて、付き合っている男子もいる。
施設で暮らしていることを引け目に感じていて、周りにはなかなか言い出せない。
同じ施設で暮らす子どものこともたくさん出てくる。
接したことのない世界だから想像になってしまうけれど、この作品に出てくるような、心身不安定な子どもが、施設だと多いのだろうか。
ななみも色々な思いを抱えながら(これは思春期だから、というのもある)、自らの進路を決めていく。
物語の最後は、大学生になったななみが出てくる。
もう少し先、たとえばグループホーム(施設を出た後に入った住居)での生活が慣れた頃のことや、サークル活動はどうしたのか。
そういうところまで読みたいと思った。
登場人物では、「川上さん」が大人として子どもに向き合っているのがよかった。
ななみと話をする場面は、どれも印象的。
巻末に取材への謝意と参考文献が多数出ているので、施設の子どもをフィクションで知りたい人におすすめ。