文学者・荒井裕樹による本。
2021年に柏書房から刊行。
著者のことは新聞のコラムで知っていて、著作をいつか読んでみたいと思っていた。
Webで連載していた内容を加筆・修正している。
著者は最近、「言葉が壊れてきた」と感じている。
危機感を抱いている、と言ってもいい。
そんな中で、著者がこれまでに触れてきた言葉(直接伝えられたもの、本などを通して知ったもの)を取り上げて、考えている。
モヤモヤすることが多い人だなあとも思うが、言葉を扱う文学者らしい、とも思う。
専門の1つが障害者文化論なので、障害のある人との関わりもたくさん出てくる。
やっぱり、障害のある人の言葉は重く、でも暗くなるばかりでもなく、希望を持つこともある。
ハンセン病の人とのことも書いていて、私にとって知りたい分野なので、学べた。
最後に、「要約」することの危険さに触れている。
これは、読んでいて「そうだな」と思ったし、時代を映し出していると思う。
他の著作もまた読んでみたい。