「ぼっち」で生きていく(その2) | すみれのキモノ笑う日々

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週末着物ではありますが、着付けに悩みコーディネートに失敗するちょっと笑える着物のお話、日々のアレコレをつづります。

(その1)はこちらから。

 

 

 

高校生になっても友だちができずいつもひとり行動の私。

休み時間の居場所は図書室しかありません。

それでも本を読むことが好きで人としゃべるのが苦手な私には最も気が休まる場所でした。

「なんならここで一生を終えたい。寝泊まりできたらどんなにいいかな~」

 

ある日。一人の男子学生が図書室に入ってきました。

背が高く、長い手足。

色白の整った顔立ちが聡明そうで、肩にかかるやや長めのヘアスタイルがとても似合っていました。

 

 

(かっこいい・・・)

 

 

私は初めて男性にドキドキしたのでした。

 

その人は2学年上。

バンドをやっていてボーカル&ギター担当。文化祭でチャゲアスの「万里の長城」を熱唱する彼に黄色い声援を送るファンクラブもありました。

 

私と同じ「ぼっち」でありながらやたら情報通の銀座クラブママ志望のメガネ女子が言うには「他校にもう何年も付き合ってる彼女がいるんだって」

 

銀座メガネ「美人ってウワサだよ」

 

どう考えても完全に雲の上の人です。

あきらめる以外の選択肢はありません。

わかってはいましたが、いっそ思いの丈をぶつけて玉砕すればこの苦しさから解放されると思い、バレンタインデーにチョコをプレゼントすることを決めました。

 

バレンタイン当日。

私は選ぶのに一週間を費やしたブーケ型のチョコを手に持ち、図書室の前で待機。

廊下を歩く彼めがけて、すでにたくさんの女子がチョコを手渡しています。

そのたびに困ったような笑顔で立ち止まり、小さく「ありがとう」を言う彼。

 

私も。私も渡さなくちゃ!

緊張のあまり私は突進し、恥ずかしさのあまり下を向いたまま

「うっ うっ 受け取ってください!」とチョコを突き出しました。

その瞬間、彼の「ぐふぇぇっっっ」という声。

顔を上げてみると、脇腹に私のチョコが突き刺したようにめりこんでる!

どう見ても思い余って刃傷沙汰を起こした女ストーカーです。

痛みに体を二つ折りにする彼を残して、私は逃げ去りました。

二度と振り返らずに。

 

 

何か月か後の日曜日、街で彼を見かけました。

女の子と一緒です。

すごくキレイな人で、ほんのりメイクをした顔立ちと当時流行のレイヤードカットは女子大生かと思うほど大人びていました。

お似合いのふたりは本当に幸せそうに見えました。

 

 

「・・・だよなあ」と納得。

しかしそれと同時に、

「もしかしたら私は誰からも好かれず、存在すら知られない人生を送るのかもしれない」という悲しみが初めて私を襲いました。

 

 

家に帰り鏡を見ました。

暗い目つき、髪も眉もボサボサ。

この頃すでに裸眼視力0.03、銀座メガネを笑えないほど度の強い分厚い眼鏡。

良くみるとうっすら口ヒゲまであります。

いとこのお下がりのセーターは毛玉だらけ。スカートはスーパーの衣料コーナーで(親が)買ったおしゃれ度外視のキュロットスカート。

 

 

(いやもうダメだろこれ)

 

 

私もかわいくなりたい。

人から好かれる魅力を手に入れたい。

 

 

私は決意し、お年玉貯金を崩しまくりました。

これまで本とマンガと映画につぎ込んでいたおこづかいで生まれて初めてコンタクトを入れ、デパートでレース衿のワンピースを買い、近所の美容院で聖子ちゃんカットをキメたのでした。

 

  (続く)